5・バイ・モンク・バイ・5/セロニアス・モンク

   

サド・ジョーンズが参加

モンクの代表的レパートリーの5曲を5人で演奏。
だから、『5・バイ・モンク・バイ・5』。

あれ、5人?

カルテットじゃなくて?

そうなんです。このアルバムの目玉は、トランペットのサド・ジョーンズの参加なのです。

サド参加効果

テナーサックスのチャーリー・ラウズとレギュラーコンボを構えた後期のモンクは、プレイの内容そのものは大きな変化はないものの、ニュアンスとしては、往年のアグレッシヴな要素が若干薄れ、角が取れたような、まろやかな要素が強くなってきている。

凄みの要素は希薄なものの、暖かく堅実なプレイを信条としたラウズのプレイがもたらした効果が大きいのかもしれない。

このようなサウンドキャラクターを持つカルテットに、穏健でハートウォームなサドが加わったことによって、さらに地味だが滋味溢れる「ほんわか感」が加味された。

コルネットを吹くサド・ジョーンズが、意外にもモンクの世界と相性が良いことが、まず嬉しい驚きの一つ。
というよりも、モンクがピアノを弾いていない間の、サドのアドリブは、完全にサド・ジョーズがリーダーのピアノレストリオと化している。

高らかなハイトーンを出さないかわりに、適度に暖かく丸みのあるラッパを吹くサド。
音色も丸いが、フレージングも円やかだ。
ふくよかで、暖かい。
この丸くて適度に甘いエッジが、モンクの鋭角的なピアノを包むのだろう。

それどころか、同じく、ウッディで円やかなテナーを吹くチャーリー・ラウズともベストな相性。
まるで、彼らホーン陣二人の双頭リーダー作に、サイドマンとしてモンクがピアノで参加しているかのような錯覚にすらおそわれる。

そして、選ばれたモンクのレパートリーも、二人のホーンプレイヤーの特質にぴたりとマッチした親しみやすい曲ばかり。

グリフィンと火花を散らす「ファイヴ・スポット」でのライブのときのようなアグレッシヴなモンクが好きな私でも、この小傑作ともいえる穏健なモンクも悪くないと思っている。

おすすめナンバー

もっとも、たてつづけに3回続く《プレイド・トワイス》には、ちょこっと退屈してしまうが。

微妙な差異の聴き比べもしてみたが、残念ながら特筆すべき大きな違いというのはないのよね。

ベストは《アスク・ミー・ナウ》か。

全編、ミディアムか、ミディアム・スロウのテンポが続く中、このしみじみとした不思議なバラードで締めくくられる構成は、悪くない。
はじめてCDで聴く人は、《アスク・ミー・ナウ》から聴いてみよう。

また、サドの艶やかなコルネットが聴きものな《ストレート・ノー・チェイサー》も良い。

「このテンポ、少しかったるいかな?」と最初は思ったものだが、サドのソロが登場すると、そんな思いも180度変わる。このテンポだからこそ、良かったのだ。サドが放つ輝かしいばかりの金色のトーンは、アップテンポだとじっくり味わえない。

モンク好きが辿りつく穏健な境地

『ファイヴ・バイ・モンク・バイ・ファイヴ』は、モンクのアルバムの中では、もっとも地味な部類に位置するサウンドには違いないが、地味ゆえの滋味溢れる内容なことも確か。

モンクのピアノはもとより、このアルバムはホーン陣の円やかさも楽しめるおトクなアルバムなのだ。

『ブリリアント・コーナーズ』、『セロニアス・モンク・トリオ』、『セロニアス・ヒムセルフ』、『ミステリオーソ』など、モンクの代表作を一巡した後は、是非、この境地にたどり着いて欲しい。

記:2006/10/14

album data

5 BY MONK BY 5 (Riverside)
- Thelonious Monk

1.Jackie-Ing
2.Straight,No Chaser
3.Played Twice (take 3)
4.Played Twice (take 1)
5.Played Twice (take 2)
6.I Mean You
7.Ask Me Now

Thelonious Monk (p)
Thad Jones (cor)
Charlie Rouse (ts)
Sam Jones (b)
Art Taylor (ds)

1959/06/01-02

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