バグズ・グルーヴ/マイルス・デイヴィス

      2022/05/30

モンクの最高のピアノソロが聴ける!

私が好きな文字デザインのジャケットの1つに『バグズ・グルーヴ』がある。

アルバムの中の音が好きで、CDの鏡面に手垢や傷がつきまくるほど聴いたものだが、それも手伝ってか、ジャケットにも非常なる愛着を覚えるようになった。

黄色と緑の色合いも素晴らしいが、バランスよくレイアウトされたタイトルやパーソネルの文字がとにかくセンスが良い。

しかも、よく見ると、ジャケットの一文字一文字は機械的に配列されているだけではなく、微妙に不規則に並んでいるんだよね。

この微妙に不規則な味わいと、全体的なまとまり具合が見事だと思う。

近くで近視眼的に見ると、一見アンバランスそうに見えるかもしれないが、遠く離れて全体を見ると、じつは絶妙にバランスが取れている構造は、まさにマイルス・デイヴィスとセロニアス・モンクの水と油のプレイが絶妙なバランスで成立しているアルバムの中身を象徴しているかのようだ。

シンプルだけども、まったく飽きのこないデザイン。

いつも、緊張感溢れるマイルスやモンクのプレイを聴きながら、じーっと眺めているジャケットの1枚だ。

ちなみに、《バグズ・グルーヴ take 1》でのモンクのピアノは、セロニアス・モンクの生涯でもベストの出来なのではないか、と私は個人的には思っている。

これほど、ジャズから遠いところで孤立して存在していながらも、これほどジャズのエッセンスを短い音数の中に凝縮しているソロはほかにないんじゃないかと思うほどの、シンプルで、エグくて、深くて、広いアドリブなのだ。

必ずやあなたを未知の世界に誘ってくれることだろう。

モンクファンは必聴。

また、セロニアス・モンクにさして関心のない人も、この演奏を機に、是非モンクというピアニストの魅力に目覚めてください。

記:2010/05/21

album data

BAG'S GROOVE (Prestige)
- Miles Davis

1.Bag's Groove (take 1)
2.Bag's Groove (take 2)
3.Airegin
4.Oleo
5.But Not For Me (take 2)
6.Doxy
7.But Not For Me (take 1)

Miles Davis (tp)
Sonny Rollins (ts) #3,4,5,6,7
Milt Jackson (vib) #1,2
Thelonious Monk (p)#1,2
Horace Silver (p) #3,4,5,6,7
Percy Heath (b)
Kenny Clarke (ds)

#1-2 1954/12/24
#3-7 1954/07/29

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