エア・ソング/ヘンリー・スレッギル

   

緊密なアンサンブル、にじみ出る黒さ

ピアノレストリオ「エア(旧名:リフレクションズ)」による、変幻自在なアンサンブルの変化。

緊密な一体感。
まさに三位一体。

スレッギルの吹奏が人間でいう胴体だとすると、フレッド・ホプキンスのベースは脚、スティーヴ・マッコールのドラムは腕のように一つにつながり、それぞれが、それぞれの役割を果たし、各楽器が発する音が有機的に結びついている。

これ、楽器演奏したことがある人、それもフリーの要素が強い演奏をしたことがある人からしてみれば、おそらく、この強靭なアンサンブル力は羨ましく感じられるのではないだろうか。

プラス、彼らの緊密なコンビネーションから醸し出る重心の低い黒い感触。
さすが、スレッギルはアート・アンサンブル・オブ・シカゴのジョセフ・ジャーマンやロスコー・ミッチェルと振興があっただけのことはある。

おすすめナンバーは1曲目の《アンタイトルド・タンゴ》だ。
ベースがわかりやすく演奏の進む先のナビゲーションを果たしている。

ぐっと沈み込んだ重心の低い演奏から滲み出てくるこの黒い汁、ぐっと飲み干すが吉。

記:2019/10/07

album data

AIR SONG (Why Not)
- Henry Threadgill

1.Untitled Tango
2.Great Body of the Riddle or Where Were the Dodge Boys When My Clay 3.Started to Slide
4.Dance of the Beast
5.Air Song

Henry Threadgill (ts)#1 (bs)#2 (as)#3 (fl)#4
Fred Hopkins(b)
Steve McCall (ds)

1975/09/10 Chicago

動画解説

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