アニー・ロスは歌う/アニー・ロス

   

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動画レビュー

ピアノレスでもまったく問題なし

ジャケットのビックリマークの中に小さく写るバリトンサックス奏者、ジェリー・マリガンとの掛け合いが秀逸な、アニー・ロスのアルバム。

なにがいいって、スタンダードナンバー中心の選曲だから、初心者にもうってつけの内容なのだ。

元はといえば、ランバート、ヘンドリックス&ロスでの超絶ヴォーカルでならしているアニーのアルバムだが、きちんと、スタンダードの曲のエッセンスを壊すことなく、いや、むしろ、オイシイところを増幅して聞かせてくれる。

特に、サポートがジェリー・マリガンにチェット・ベイカーといった「男前」揃い。

しかも、ピアノレスという硬派な編成の中、彼女の澄んだ歌声が、バックの演奏と見事に溶け合っている。

まるで、マリガンのピアノレス・カルテットに、アニー・ロスという奔放なホーンがゲストに混ざったような感じもする。

ベーシストは、前半がヘンリ・グライムスで、後半がビル・クロウ。

両者とも、地に足のついたリズムキープと、明快なトーンの選択が光るベーシストゆえ、ピアノなしにヴォーカルが彼らのベースの上にかぶさっても、まったく違和感がないどころか、むしろピアノはアニーのスピード感の前では、むしろいなくて正解。

よりシャープさの際立ったアンサンブルとなっている。

あっさり&こざっぱり。

一切の媚をみせない、気風のよい彼女の清涼なヴォーカルの虜になっている人も多いはず。

私は、《あなたの顔に慣れてきた》や《スイングがなければ意味がない》がフェイヴァリットだが、皆さんは?

記:2009/02/27

album data

ANNIE ROSS SINGS A SONG WITH MULLIGAN (World Pacific)
- Annie Ross

1.I Feel Pretty
2.I've Grown Accustomed To Her Face
3.All Of You
4.Give Me The Simple Life
5.This Is Always
6.My Old Flame
7.This Time The Dream's On Me
8.Lete There Be Love
9.Between The Devil And The Deep Blue Sea
10.How About You
11.Guess I'll Have To Change My Plans
12.This Is Always (alternate version)
13.It Don't Mean A Thing
14.The Lady's In Love With You
15.You Turned The Tables On Me
16.I've Grown Accustomed To Her Face (alternate version)

Annie Ross (vo)
Gerry Mulligan (bs)
Art Farmer (tp) #1-6
Chet Baker (tp) #7-16
Bill Crow (b) #1-6
Henry Grimes (b) #7-16
Dave Bailey (ds)

1957/12/11 & 17

 - ジャズ