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チックの「跳ね」~『ナウ・ヒー・シングズ・ナウ・ヒー・ソブズ』のピアノ

チックの「跳ね」~『ナウ・ヒー・シングズ・ナウ・ヒー・ソブズ』のピアノ

「跳ね」は「訛り」

ジャズピアニストの個性が大きく出る要素の一つ、それは「3連」をどう弾くかにあると思います。

跳ねの要素の有無もありますし、同じ「跳ね」るにしても、どう跳ねるかの「跳ね具合」も各演奏者によってかなり異なります。

これは、いわゆる「訛り」のようなものだと思います。

ウイントン・ケリーのように、跳ね気味に弾きつつも、その「跳ね」の頂点が決して鋭角的にはならず、微妙に丸みを帯びたスタイルもあれば(日本人がこれをマネすると、祭り太鼓みたいにダサくなってしまう)、ジュニア・マンスのように、上からぐっと押さえ込むようなニュアンスの跳ねを独特なニュアンスで表出させるピアニストもいます。

その一方で、白人ピアニストの多くは、あまり跳ねを感じさせずに弾くピアニストが多いですね。

たとえば、チック・コリア。

彼の代表作であり、ピアノトリオの名盤にも挙げられることの多い『ナウ・ヒー・シングズ・ナウ・ヒー・ソブズ』の《マトリクス》は、ブルースでありながらも非ブルース的なニュアンスの漂うナンバーですが、他にも、《ナウ・ヒー・ビーツ・ザ・ドラム-ナウ・ヒー・ストップス》のアドリブラインも直線的で、ほとんど3連やハネの要素が感じられません。

水平ラインがメリハリなく一直線に突き進むといった感じ。

まあ、いわゆる都会的な感じといえましょう。

フレーズもいわゆるブルーノートをほとんど使わないので、ブルースっぽく感じない。
ブルージーさの表出は最初から意図されておらず、あくまでブルースという「形式」のみを土台にすることによって、己のスタイルをプレゼンテーションしようという試みなのでしょう。

そして、その試みは十分に成功しているといえます。

でも面白いのは、チックの場合、右手のシングルトーンは水平なんだけど、左手の和音を弾くときが微妙にハネていたり。
この跳ねっぷりがけっこう鋭角的。

この落差が面白かったりする。

同じような展開の曲でも、高速演奏の《マトリクス》よりも、《ナウ・ヒー・ビーツ・ザ・ドラム-ナウ・ヒー・ストップス》のほうがテンポが少々ゆったり目なだけのことがあって、その「ハネ」が顕著。

チックの「ひょっこり」としたハネがけっこう楽しかったりします。

そして、ひとたび、このことに気がつくと、どうも左手の和音の「跳ね」のほうばかりに耳がいってしまうんですね。

それって、いいことなのか、悪いことなのか。

記:2018/11/23

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>>ナウ・ヒー・シングズ・ナウ・ヒー・ソブズ/チック・コリア

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