辞書は楽しいオモチャなのだ。

      2019/09/02

dictionary

ここのところシゴトで家に帰らない日が続いていますが、本日、少しメドがついた間隙を縫って、神保町にカレーを食べに行きました。

「インド-イン」のチキン煮込みのバターたっぷりカレーが結構好きなので、発作的にたまぁに食べたくなるのですよ。

で、その後、三省堂に行きました。

気分転換に、いつもと違うフロアとコーナーを物色して頭の中に刺激を与えてリフレッシュさせようと思い、今日は児童の学参(学習参考書)コーナーへ。

子供向けの百科事典をニヤニヤ立ち読みしている大のオトナは相当気持ち悪いのかもしれませんが、それは私(笑)。

そういえば、大人の百科事典って見たことないな。でも、字が多そうだからいいや。やっぱり私は子供の百科事典が好き。

物心つく前から、私は百科事典とレコードで遊び育ちましたからね。もちろん、オモチャでも遊ぶフツーの子供でしたが、オモチャは滅多に買ってもらえないうえに、オモチャってひととおり遊び尽くすと飽きるじゃないですか?

飽きると暇になる。

暇になると、小学館の子供百科事典のヘビとかロケットとか新幹線のページを開いて、何度も読むわけです。

小学館の子供百科事典全8巻は、私が3歳になったときの贈り物です。

おばあちゃんのお姉さん。

渋谷で、飲み屋をやったり、まぁ、水商売の世界では名のとおっていた人らしいですが、そのオバさんが私にいきなり、ポン!とセットの重い箱をくれたのです。

えー、オモチャじゃないのぉ? 本なのぉ?と子供心に残念でしたが、この百科事典ほど、私の幼い好奇心を満たしてくれるものはなかった。結果的にはボロボロになるまで、この百科事典をめくったからなぁ。もっとも見る場所は限られていたけど(笑)。

花とか、草とか、着物などは読んだ記憶ないから。

かわりに、ワニ、マンモス、ピラミッド、ロケット、ヘビ、リニアモーターカー、古墳、埴輪、ロボット、自動車、恐竜、船、星なんかは飽きるほど読んだなぁ。

なんてことを思い出しながら百科事典をニヤニヤ立ち読みした後、「そうだ!辞書を買おう!」と思いました。

子供用の辞書です。

前に私の愛読書の一つが、三省堂の『新明解国語辞典』の第三版という、マニア垂涎の辞書だということは書いたことがあるかもしれませんが、国語辞典って“読む”のが面白いんです。

特に、新明解の第2版とか3版っていうのは、編者の金田一京介、春彦氏らの思い込みと主観も微妙に混ざっていて、大人になって読むと、結構、「にひひひひひ」と笑える解説も多いのです。

たとえば、「ビキニ」という言葉を引いてみましょう。

あれ?ビキニはなかった。「ビキニスタイル」という言葉はありました。

・乳の部分と下腹部とをそれぞれ申しわけ程度におおっただけの、セパレーツ型の女性の水着

わはは。主観丸出しですな。

「申し訳程度」とか「おおっただけの」の「だけの」のあたりが特に(大爆笑)。

大先生の、「近頃の若いモンはミダラでいかん!」と憤った表情が思い浮かびます(笑)。

ついでに、「ヒステリー」という言葉を引いてみましょう。

・わずかなことでも、すぐ感情を大げさに表す、精神の状態(病的症状)。欲求不満の女性に多い。

だそうです(爆笑)。

ま、たしかにそうなんだろうけど、

「も、もしかして、先生の奥様、ヒステリーでらっしゃるんですか?」と質問したくなるほど、実感のこもった解説だと思いませんか?

このように、折に触れて、私は『新明解国語辞典』の第3版を思いつく言葉を引いてはニヤニヤしていたという、ヘンな中学生、高校生、大学生でした。

あ、社会人になった今でも、この辞書は愛用しています。

ボロボロだけれども、やめられない、とまらない。

今読み返すと、えっちな言葉ばかりに赤線が律儀に引いてあるところがほほえましい、かつ恥ずかしい。

いや、恥ずかしくないか。

今では、職場の連中に「雲さん辞書借りていいですか?」と言われると、「おお、オレの恥ずかしい赤線がいっぱい引いてある辞書を使えよ」と言って貸します。

すると、借りた子からは、くすくす笑いがこぼれるのが常です。

「く、雲さん、なんで、マンホールに赤線がひっぱってあるんですか?」とか、「なんで“うがい”だけピンクの線なんですか?」とか。

そんなこと聞かれても、もう昔のことだから忘れちゃったよ(笑)。

でも、楽しいですね、辞書は。

辞書マニアの話によると、『新明解』は、2~4版が最高で、それ以降はつまらないのだそうです。
そうなんですか。じゃあ、第3版は大事にしよう。

で、子供の辞書コーナーに行くと、いろいろ出てますねぇ。

ベネッセ、くもん、小学館、なかにはドラえもんの国語辞典なんてのもある。

息子の買って帰って、一緒に辞書で「ヘンな言葉探しごっこ」をするのも楽しいかもしれない、というアイデアが閃き、小学館の国語辞典を手にとって、試しに、「うんこ」という文字で引いてみました。

ない!

すぐ近くにあるであろう「うんち」という言葉を探しても、

ない!

なんだ、この辞書は!けしからん! 

……いや、待てよ。そういえば、我が『新明解』にも「うんこ」と「うんち」は載ってなかったハズだ、ということを思いだしました。

昔、これらの言葉を調べてもなかったという苦い経験があるのです。

『新明解』と同様、小学館の子供用国語辞典にも「うんこ」という言葉は載っていない。

ということは、まぁ、まっとうな辞書なのかな?(←すごい判断)

よし、いっちょ、買ってみるか!

「うんこ(ち)」がなくても、他にも面白い言葉はあるに違いない。

よーし、家に帰ったら、息子とどんな言葉を調べて遊ぼうかなぁ、なんて思いながら、辞書をレジに持ってゆきました。

せっかくだから、「プレゼント用に梱包してください」と言いました。

べつに、誕生日でもないんだけれども、先日もらった初通信簿がオール5だったし、奄美大島でも大活躍だったから、「ご褒美」として贈ってやろう。

さてさて、早く家に帰って、息子と辞書遊びしたい。

その前に溜まってるシゴト片付けないとね……。

▼コレ買いました(掲載画像は最新版です)
三省堂 例解小学国語辞典 第六版
三省堂 例解小学国語辞典 第六版

記:2006/10/20(from「趣味?ジャズと子育てです」)

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