ジャズをかける店がどうも信用できないのだが……。/姫野カオルコ - カフェモンマルトル

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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

ジャズをかける店がどうも信用できないのだが……。/姫野カオルコ

   

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ジャズをかける店がどうも信用できないのだが……。

整合性を追求!

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』という本によると、人は記憶を改ざんしてまでしても整合性を求める動物なのだそうです。

この本、なかなか興味深い内容が書かれているので、ぜひご一読をオススメしたいのですが、この本については別の機会にゆずるとして、今回は気になるタイトルの本『ジャズをかける店がどうも信用できないのだが……。』について。

エッセイ集です。

このエッセイ集の前半は、まさに定義があいまいな言葉に関して、「整合性」を求めようと(過剰なまでに「整合性」を求めるフリをして?)あれこれとクスリと笑わせてくれるテキストのオンパレードです。

ま、これぞいつもの姫野節!ってところでありましょう。

なんかこうジャズがかかっている店

さて、本のタイトルとなっているエッセイのタイトル『ジャズをかける店がどうも信用できないのだが……。』は、ジャズ好きやジャズ喫茶通いが趣味の人にとっては、一瞬ドキリとするタイトルではありますが、ご安心めされい、ジャズ喫茶のようにジャズを意識的に流すお店のことを揶揄しているわけではありません。

ジャズピアニストである守屋純子氏の著作に『なぜ牛丼屋でジャズがかかっているの?』という本がありますが、まさに牛丼屋のように、ジャズ本来の目的とはかけ離れた飲食店でジャズを流す店についてのことに言及されています。

ページ数にして、わずか3ページ。

姫野氏ディスりの対象は「なんかこうジャズな店」。

意志あってジャズをかけているのではなく、「なんかこうジャズがかかっている店」。

「なんかこう」という表現、わかるわかる。

「出す料理を盛る皿はどでかい。どでかい皿にどでかくレタスが一枚あって、しゃらしゃらしゃら~ッと、ボールペンの試し書きみたいにソースがかかった料理が出る。」

「しゃらしゃらしゃら~ッと、ボールペンの試し書きみたいなソース」

わかるわかる。

姫野節炸裂。

思わずクスッと笑ってしまいました。

ストーンズTシャツ、ヨーコ・オノ

さて、気になる文庫本の表紙のイラストですが、女性二人が並んでいるイラスト、どう見てもジャズを流す店との関連性が希薄です。

どういうわけで、この本の表紙はこのイラストなのか?

これは、この本のラストに収録されている「小学生の夢、ベニスに死す」というエッセイを読めば腑に落ちます。

そう、片方の女性は著者で、もう片方の方はヨーコ・オノ氏なのです。

旅先のベニスのホテルでヨーコ・オノと出会い、ローリング・ストーンズのTシャツを着た状態で、一緒に記念撮影。

こうのエピソードがイラスト化されたのが本の表紙のイラストなのです。

『ジャズ~』というタイトルと、ヨーコ・オノとストーンズTシャツでツーショットのイラスト。

一貫性や整合性を追及しているエッセイが収録されている本のわりには、整合性がありませんね(笑)。

あ、別に揶揄しているわけではありませんよ。

とても面白く読むことが出来ました。

記:2018/10/29

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