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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

エヴァンスを聴け!/中山康樹

      2018/01/11

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エヴァンスを聴け!エヴァンスを聴け!

超名ガイド『マイルスを聴け!』の著者、中山康樹氏が放つ次なる「聴け!」は、ビル・エヴァンス。

全181枚、怒涛のレビュー集!
「読みごたえアリ!」です。

知的、繊細、リリカル。

このようなエヴァンスに対する世評に真っ向から異を唱える本書は、エヴァンスの凄さ、カッコ良さは「フレーズにあり!」と主張し、「言われてみればなるほど納得」な論を展開する。

たしかに、多くのジャズファンは、スコット・ラファロ参加のリヴァーサイド4部作と、そのほかの数枚のアルバム(お城のエヴァンスや、アンダーカレントなど)を聴いてエヴァンスの全貌を“分かった気”になっているフシはあるかもしれない(私もそうだ)。

しかし、中山氏が指摘するように、それらはエヴァンスの長いピアノ人生のほんの一瞬の通過点を捉えた記録に過ぎず、一言や二言では語りつくせないほど、複雑な音楽的内面を持ったピアニスト、エヴァンスの音楽は、驚くほど多様で、変化に富んだものだったのだということが、膨大なディスクレビューを読むうちにわかってくる。

たとえば、後期に録音され、一部の評論家からは駄盤の烙印すら押されている『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』こそが最高の到達点と賞賛していることからも、氏の独自のエヴァンス感が伺える。

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング

しかも、それは決してエキセントリックな主張ではなく、一本筋の通ったエヴァンスの本質を理解した者のみが言える説得力のある分析が、読む者の好奇心を刺激する。

なにより、読み手に「聴きたい」と思わせる説得力を持ったレビューがズラリと並ぶので、さすが、「聴くことのプロ」の仕事っぷりは凄い!

読了後の感想を一言で言うと、 「もっとエヴァンスを聴きたくなった!」につきる。

記:2005/10/30

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