カフェモンマルトル

ジャズと映画と本の日々:高野雲

東国原さん、宮崎の小説家・吉川成仁氏をもっと大々的に宣伝して全国区にしましょうよ!

      2018/01/11

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ジャズが体内に染み込んでしまった人間の短編集

ジャズと文学は相性が良い。

と思いつつも、最近はジャズが登場するブンガクって読んでいない状態が続いて久しい。

ところが、ところが、先日、昔からのメル友で、宮崎在住の作家・吉川成仁さんから1冊の本が送られてきた。

『カナダの夕陽、が』と題された、6本の短編が収録された、吉川さん著の短編だ。

6本中、半分がジャズが題材となった短編。

微妙にスーパーナチュラルな現象が入り混じりつつも、日本の湿度と、ジャズに関わる人々の人間模様が丁寧描かれた、すぐれた短編集だ。

楽器やってる者からすると、音楽用語的なところで、それは会話にはちょっと使わんだろう、みたいなところが散見されたり、編集者的視点から見ると、このような言い回し、普通会話では使わんだろう、みたいな突っ込みは数か所出てきたが、それはあくまで瑣末な問題。

「この方は、ジャズを分かっている!」と思った。

いや、正確にいえば、ジャズを好む人間、どうしようもなくジャズが体内を取り込んでしまった人間の(あるいはジャズに取り込まれてしまった人間の)抗いがたい性(さが)を知り抜いた人だ、と感じた。

そして、日本の四季おりおりに移り変わる季節感も巧みに取り入れつつ、基本的に哀しみを心の隅っこに背負った人々の生きざまが、活写されているのだ。

日本独特の湿度をはらんだブルース

淡々とした筆致の行間から滲み出る匂いは、あきらかに日本独特の湿度と、重たい雨の薫りをはらんだブルースだ。

ちょっと青臭くも、ひたむきに生きる清廉な人間像。

彼が描き出す小さな物語は、読んでいて心洗われる気がしたのも確か。

とくに、片耳が聴こえなくなったことがキッカケで悪魔が見えるようになってしまったという、若手ピアニストの話、『ホワイトノイズ・L』は秀逸だった。

読了後、涙が出そうになっちゃったよ。

地方のジャズ喫茶で読みたかった

できれば、この短編集、地方で読みたかった。
渋谷のど真ん中で、ウルウル読んでる場合じゃなかったぜ。

たとえば、山形駅前の『オクテット』で。柱時計たちに囲まれながら、コーヒーを何杯もおかわりしながら、この本を読みたかった。

この本、ジャズ好きの多くの方に読んでもらいたいのだけれども、アマゾンや楽天BOOKSにはこの本登録されていないみたい。

※追記
Amazonでは販売していました。

版元は鉱脈社出版というところで、表紙の壮丁は、こんな感じなんだけれども、気になる方は、書店で注文されるか、宮崎県の出版社・鉱脈社に直接お問い合わせしてみてください。

▼鉱脈社
http://www.koumyakusya.co.jp/

▼吉川さんのプロフィール
http://www.mnet.ne.jp/~sunship/pro.html

いやぁ、それにしても、『ホワイトノイズ・L』の主人公の1人であり、幻のピアニスト・八幡之寛のピアノが聴きたくなってきたぞ。

その音色は重く鍵盤を這いずり廻るような演奏で、軽快にスイングするタイプではなかった。それはジャズの持つ暗い情念を鍵盤に叩き付けながら、自分の怨念をメロディーに組み立てていき、最後にはそれすら破壊していくものだった。

と書かれた日にゃぁ、たとえ小説中にしか存在しないピアニストだとしても、一回でいいから、そのピアニストの音に触れてみたいと思ってしまう。

そういう想像力を掻き立てる描写がいくつもある、「罪な小説」なんだよ、この『ホワイトノイズ・L』は。

気になる人は、早速、注文だ(笑)!
お値段、税込1575円です(笑)。

あ、ISBNコードは、「978-4-86061-262-7」だからね(笑)。

ご注文の際にお役立てください。

「九州文学賞やみやざき文学賞」を何度も受賞されている吉川さんは、宮崎県の宝ですよ。

もっともっと全国に名を広めてくださいよ、東国原知事!(笑)←っていきなりかよ。

あと、この中の短編は、どれもが短編のドラマになりそうな題材がちりばめられている。

脚本家の方も、要チェックですぞ。

最後に、成仁さん、素敵な本をお贈りいただき、ありがとうございました!!

私も、いつかあなたのようなジャズ小説を書いてみたいと思います。

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