カフェモンマルトル

text:高野雲

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喰ふ!喰ひまくる!『鮫肌男と桃尻女』の感想

      2016/03/22

pasta

※以下のテキストは、今から2年ほど前に、私がある個人サイトに投稿した原稿をそのまま転載したものだ(一部加筆&修正あり)。

マンガ好きな管理人が運営していた個人サイトで、マンガの感想文の投稿を募集していた。

面白そうなので、いくつかのマンガの感想文をこのサイトの管理人に送り、掲載してもらっていたのだが、私がこの投稿の文章を書く際に決めていたことが一つあった。

「マンガの感想文じゃない感想文を書く。」

つまり、マンガを叩き台にしつつも、マンガの内容そのものには踏み込まずに、マンガとは関係の無い、全く別な主張をして、ウケを狙うということをモットーとした文章を書き、そのいくつかを掲載させてもらっていた。

ところが、ある日突然このサイトは閉鎖されてしまった。

閉鎖の数日前に私が送りつけた原稿が、『鮫肌男と桃尻女』というマンガを叩き台にした「喰う男」の話。

管理人から直々に読んで感想を聞かせて欲しいと渡されたマンガだ。

投稿者には何の連絡も無しに閉鎖されてしまったときは晴天の霹靂だったが、せっかく一生懸命書いて送りつけた原稿が日の目も見ないのも勿体ないので、自分のページに掲載することにする。

題材は『鮫肌男と桃尻女』のコミックだ。

鮫肌男と桃尻女 (ミスターマガジンDX)鮫肌男と桃尻女 (ミスターマガジンDX)

しかし、このコミックをたたき台として、書きたい放題に書いた内容は「喰うこと」だ。

『鮫肌男と桃尻女』を読んで

ボクはこのマンガに出てくる鮫肌男が好きです。

なぜかというと、食べ物をいっぱい喰いそうだからです。

このマンガは借りて読みました。

持ち主に返してしまったので、マンガの中に食事のシーンがあったかどうかは確認していませんが、たとえ食事のシーンがないにしても、鮫肌男は豪快に食い物をバクバク喰いそうです。

そして、食べ物をバクバク喰う男は信用できます。

ルパン3世の『カリオストロの城』という映画を見たときに印象に残ったシーンがあります。

満身創痍のルパンが、ベッドの上でたくさんの食べ物をガツガツと喰いまくるシーンです。

その時のルパンのセリフが「血が足りねぇ」。

このセリフ、ボクはとても好きです。

ルパンは食べ物をいっぱい喰ったから、すぐに回復して敵をやっつけました。

「食べもの喰ったから、勝ったってわけでもないだろ!?」という声が聞こえてきそうですが、少なくともボクはルパンがいっぱい食い物を喰わなかったら、あんなに早く回復できなかっただろうと思っています。だから、ボクはこのシーンを見て以来、調子が悪くなったらたくさん食べ物を喰うようにしています。

ボクは1年に1回ぐらいの頻度で、ものすごく調子が悪くなることがあるのですが、その時の直し方は決まっています。

スーパーかコンビニでパスタ1袋と、ミートソースの缶を買ってきてもらうのです。そして、パスタ1袋を一気に茹でてしまいます。300gから500gが目安でしょう。量的には、だいたい3~4人前ぐらいでしょうか。

本当は、明治屋のパスタが一番ボクの好みなのですが、家にストックがないときは、仕方がない、スーパーにあるパスタを適当に選んで茹でることにしています。

そう、明治屋のパスタはとてもおいしいのです。

ボクが今まで試したパスタの中では、一番おいしいです。コシがあって、なおかつ歯ごたえが気持ちいいのです。

イタリアに行った時に、スーパーで売っていたありとあらゆるパスタを買いまくって、帰国して全て試してみましたことがあるのですが、やっぱり明治屋のパスタが一番でした。

もっとも、ボクはイタリア語が読めないので、パッケージに書いてある茹で時間や茹で方の説明は一切読んでいません。

だから、もしかしたら、間違った調理法でパスタを作ってしまった可能性もあるので、本当はもっとおいしいパスタなのかもしれません。それにボクは料理があまり上手くないのです。

でも、そんな料理が下手なボクでもおいしいアルデンテな状態で作れる明治屋のパスタは、やっぱり良いパスタだと思います。

ちなみに、ミートソースも明治屋の缶がオススメです。本当にオイシイです。

おっと、話が脱線しちゃいましたね。

そうそう、風邪を引いた時にパスタを茹でる話でしたね。

そう、茹でるのです。

茹でている間に、小さな鍋にミートソースを移して弱火で暖めます。この時に、ありったけのニンニクのミジン切りをぶち込みます。

調子が悪くてニンニクを刻むのが億劫なときは、乾燥ニンニクをサラサラサラーっと鍋の中にぶち込みます。

もし冷蔵庫の中にトマトがあれば、トマト丸一個を石川五右衛門になったつもりでザックリとぶつ切りにして、これもミートソースの中にぶち込みます。

でもこれだけだと、ソースが甘くなってしまいますね。だから、鷹の爪をいくつか鍋の中にぶち込みます。

おっと、オリーブオイルを忘れていましたね。

小さな鍋にオリーブオイルを少々入れてから、缶詰のミートソースを鍋に移しましょう。

これは香りを引き立てるためと、パスタの量が多いのでソースの量も増やさなければバランスが悪いからです。

その上、オリーブオイルは栄養がたっぷり含まれています。

ボクは風邪をひくと鼻がグジュグジュになって嗅覚が落ちることが多いので、ブイヨンなんかもパラパラとかけて良い匂いを出して食欲を増大させるのも一つの方法です。

これはその時の体調次第で、ケースバイケースですが。

風邪をひいているときは味覚が麻痺気味のことが多いので、多少しょっぱめに作ったほうがおいしく食べられます。

そのコツは、パスタを茹でる際、お湯の中に、塩とオリーブオイルを多めに入れることです。塩はパスタの表面を引き締めます。そして、出来上がったソースにパスタの茹で残りの汁を混ぜると、麺のソースの相性が良くなる上に塩でソースに味付けが出来るのです。これはホテルのレストランのシェフもやっている方法なのだそうです。

さあ、いよいよパスタが茹であがりました。

ボクは伸びたブヨブヨの麺が嫌いなので、少し固めの状態で火を止めてしまいます。特大ドンブリにパスタをよそったら、麺の上にバターひとかたまりを乗せましょう。

何せ、たくさんの種類の栄養を取らなければなりませんからね。その上にミートソースをドバーッとかけます。

タバスコとパルメザンを多めにかけて、一気に食います。ガバーっとかっこみます。

おいしいです。

途中で喉が渇くので、緑茶は多めに用意しておきましょう。麦茶でもOKです。

ボクはどんなに調子が悪いときでも、不思議と自分で作ったパスタを残したことがありません。

たとえ、その量が5人前でも、です。

一気に喰い終わったら、すぐにダルクなってきます。

胃袋が大忙しです。

胃袋の方に血がいっぱい流れてゆくので、猛烈に眠くなってきます。

急いで薬を飲んで、あとはひたすら寝ます。グーグー寝ます。

何時間も何時間も寝ます。

そして目が覚めたころには、グッショリと大量の汗をかいています。

カラダが少し軽くなっています。

そしてトイレに行き、大量の「うんき」が出れば、ほぼ風邪退治は完了です。

ボクは高校生の頃から、この方法で風邪を直すようにしています。

たいていは直ります。

だからボクの心の中は、「喰う=回復」なのです。

どんなにタフな男でも、時には傷つくしダウンすることはあります。

ウルトラマンだってスーパーマンだって傷つきます。

ウルトラマンはゼットンにやられましたし、昔のガメラは必ず一回は敵の怪獣にやられて傷つき、どこかに身を隠します。

これは仕方がありません。完全無欠の傷つかない人なんていないのです。

しかし、大事なことは、いかに早く回復するか、いかに早く立ち直るかです。

「喰って直す」。

このシンプルさが男っぽくて好きです。

ツベコベ言っているヒマがあったら男は喰え。

これがいつしかボクの持論になりました。

おかげでボクはいつのまにか、普通の人よりは大喰いと呼ばれるようになってしまいました。

たしかにそうかもしれません。仕事や遊びで疲れたときもボクは食います。バクバク喰います。喰えば疲れが回復したような気分になります。

その上、おいしいものは、喰っていると、とても楽しいです。

一人で喰うよりも、誰かと喰うほうがもっと楽しいです。

だからボクは女の子と飯を喰いにいくのが大好きです。

そして、喰わない女の子よりは喰う女の子のほうが、喰いがいがあって楽しいです。好き嫌いの激しい子や、小食な子は、その一点のみにおいて、ボク好みではありません。さようなら。

もちろん、ボクほどは喰う女の子はマレでしょうし、さすがのボクも女の子にそこまでは要求しません。

でも、目の前で楽しそうに喰ってくれると、なんだかこっちも嬉しくなっちゃいますよね。

疲れが吹き飛びます。

ちなみに、ボクの奥さんはいっぱい喰います。

だから、ボクはよく奥さんと一緒にいろいろな食べもの屋さんに行きます。

鮫肌男もきっと、そんなボク同様、シンプルな行動原理を持っていそうです。

しかも、彼はボクの何倍も喰いそうです。

闘って傷ついてもステーキを何枚も食えば、次の日はケロリと直っていそうです。銃撃戦で血を大量に流しても、ワインとビールと大量の肉と野菜をバクバク喰えばすぐに回復しそうです。

ボクはこのような「シンプルなタフさ」がとっても男っぽいと思います。だから鮫肌男のような男はボクの憧れです。

柳沢きみおの作品に『SHOP自分』というマンガがあります。ボクはその作品の主人公があまり好きではありませんでした。なぜかというと、ナヨナヨして優柔不断で弱そうだったからです。

でも、あるシーンを読んで認識が変わりました。

暑い夏の盛りの昼に、ラーメン屋で冷やし中華を2回もオカワリするシーンです。

3皿も食べるんですよ、スゴイですよね。

その時の描写がたまりません。

目がニコニコと心底ウマソウな顔をして、ズルズルと冷やし中華を食べているのです。そして勢いよく「おかわり!」。

ボクは単純なので、このシーンを見て、この主人公のことを見直しました。中々見どころのあるヤツじゃないか、と思いました。

自分で始めた商売が必ずしもうまくいっていない話が多いのですが、そんな時でも主人公は食事の時はいつも嬉しそうです。

考えてみれば、この『SHOP自分』には、アウトドアでのバーベキューとかアパートの一室での鍋パーティなど、食事のシーンがとても多いです。

食事のシーンそのものが、このマンガのストーリーに大きな影響を及ぼしているわけではありませんが、こういったちょっとした「スキマ」をマンガにさり気なく挿入することが柳沢きみおはうまいなあと思いました。

話を鮫肌男に戻します。

ボクはマンガは読みましたが、映画は見ていません。

映画の主人公は豪快にバクバク食い物を喰うタイプに描かれているのかどうか、ちょっぴり不安です。

なぜなら主役演じる浅野忠信は、どうも肉食というよりも菜食っぽい感じがしてならないからです。

他の皆さんはどう思われるか分かりませんが、少なくともボクの浅野忠信に対するイメージはそうです。

カゴメのトマトジュースのCMの力は偉大だなぁ、とボクは感心してしまいました。

映画版はビデオのレンタルショップに並んでいたので、今度観てみようと思いました。

以上。

記:2001/09/21

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