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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

シャドー81/ルシアン・ネイハム

   

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シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)

100ページあたりから物語が一気に加速する

「PGA81便、貴機はハイジャックされた事を通告する」。

たしか、こんなセリフだったけっかな?

100ページだったか101ページ目だったか正確な記憶は定かではないけれど、ちょうど100ページほど読んだところで、がぜん物語が面白くなりはじめる。
同時に、物語が一気に加速し、ページをめくる手もそれに比例したかのように加速していく。

中学生の頃、父親からの勧めで読んだこの本。

シャドー81 (1977年) (新潮文庫)

現在はハヤカワ文庫バージョンが店頭に並んでいるけれども、当時は新潮文庫バージョンをむさぼるように読んだ。

もっとも、私は熱心な海外のスパイ小説や謀略小説のファンというわけではない。
しかし、折に触れて長編のスパイ小説を読んでいるが、特に海外のこの手の小説は長編が多い。
そして長編小説の多くは、物語に必要な描写や背景説明に字数が費やされるため、なかなか物語が進行しないことが多い。
だから、作品によって異なりはするけれども、最初の50ページから100ページぐらいまでというのは、なかなかページをめくる速度が遅い場合が多い。

作品によっては我慢しながら活字を目で追いかける場合もある。

しかし、あるイベントやある一言がキッカケで、今まで我慢してインプットし続けてきた情報が一気にひとつの方向に収斂してゆき、がぜん物語が加速して一気に面白さを増してゆくということが多い。

それを知るキッカケとなった小説がルシアン・クイネルの『シャドー81』だったのだ。

この一気に物語が面白くなっていくギアが一段あがって加速がかかる感覚を体感したいがために、私はたまに冒険小説、スパイ小説をごくごくたまにだが紐解くのかもしれない。

この作品が書かれた1975年という時期を考えると、今ではホーカーシドレー・ハリアーに積まれていることで有名なVTOL(垂直離着陸)の戦闘爆撃機を登場させ、外部からジャンボジェット機をハイジャックするという発想は秀逸だと思う。

いったいどうなってしまうんだろうとハラハラ、ドキドキさせてくれる感覚は何度読み返しても変わることはない。

この時期の航空機サスペンスでは、映画では『ファイヤーフォックス』(もちろん小説版も面白いが)、小説では『シャドー81』なのだ、私にとっては。

時代背景や登場メカの設定は、ふた昔前、さん昔前のものゆえ要所要所の修正は必要ではあるけれども、こういう痛快な物語こそ映画化されて欲しいものです。

記:2018/10/18

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>>ファイヤー・フォックスは、やっぱり何度観ても面白い。

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