なぜベトナム人は痩せているのか/森由香子

   

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食べなきゃ痩せる?

ダイエットに関して、単純な「足し算・引き算」で考える人は、「痩せるなんて簡単だ、食べなきゃいいのだ」と主張する。

かつての私もそうだった。
要するに食べ物を体の中に入れなければ、体重が増えようもないのだから。

これを家とモノに置き換えて考えれば分かりやすい。
モノを買わなければ、家の中にものは増える事はないし、散らかることもない。
しかし、人間の身体は、そうそう単純でもないし、ましてや物置きではない。

体内に入れた食べ物は、分解されるし、分解された栄養分は吸収される。
食べ物を分解したり、吸収したり、貯め込んだりもする人間の身体の機能も無視することは出来ない。

このことを念頭に入れずに、物理的な「足し算・引き算的発想」から、単純に「食べなければいい」いう考えは、ちょっ短絡的な考えだよなと反省させられたのが、この本だ。

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この本では、特に「朝はたっぷり食べましょう」と主張している。

朝食を抜くデメリット

「朝食は取るべきだ」。
この主張自体は特に目新しいものではない。

昔から栄養士の方々も、朝食はしっかりと食べようと主張しているし、朝ごはんを食べないとダメだみたいな視聴している本も出版されている。

まぁ確かにその通りなんだろうな~と、私もなんとなくは納得していた。
ただし、その理由や根拠は知らないままでいた。

しかし『なぜベトナム人は痩せているのか』が主張する、「朝食を抜くと、体が飢餓感を感じ、脂肪を溜め込みやすくなる」の一行の解説で、なるほどと納得。

さらに、「欠食するとエネルギーが一食分使われないことになるので、太りやすくなる」の一文で、追い打ちをかけるようにさらに納得。

脂肪は貯め込まれると、太る。
太りたくなければ、朝飯を食べなければならない。

脂肪がつきやすい時間と、つきにくい時間も考慮にいれた結果、導き出された結論なのか「朝食抜くと太る」という説は。

起床24時間以降は、食べたものが脂肪になりやすく、痩せにくいということをよく覚えておきましょう。

つまり、夜遅くに食べれば食べるほど脂肪が付きやすいということ。

深夜のラーメンのカロリー云々が根本的な原因なのではなく(もちろん原因のひとつではあるが)、本質的な理由は起床後の食事の時間なのね、ということがよ~く分かった。

睡眠時間との関係

また、睡眠と「太り」の関係もあるということも理解することが出来た。

よく「良質な睡眠をとるべきだ」という主張は耳にする。
「そりゃ、悪質よりは良質な睡眠のほうが健康的にも良いに決まっているだろうよ」と思ってはいたけれども、その理由がよくわからなかった。

しかし、この本によると、慢性的な睡眠不足が続くと自律神経のバランスが崩れ、グレリンが増えると書いてある。
これが増えると満腹感を感じにくくなり、必要以上に食べたくなってしまうのだそうだ。

なんだ、私は慢性的にグレリンが多いのか……。

結局、規則的な生活が一番

とにもかくにも、この本を読めば、ダイエットってやつは、単なる「食べなきゃいい」という引き算のみの発想で人間痩せられるほど単純なものではないということが分かる。

朝飯を食べる、良質な睡眠をとる(くわえてベトナム人は少量の食事を1日5食などたくさんの回数をとる)。

要するに「規則正しい生活」がダイエットには1番と言うことだね。

そういえば、以前、知り合いが高額な美容クリニックに勤めていた。
なぜそんなに料金が高いのかと尋ねたら、食事代(食材費)が、結構かかるからだと言っていた。

高い料金を取っているからと言って、何か特別なことをするわけではなく、旬の食材(それも有機栽培などで作られた比較的高価な食材)を、日々適量、きちんと規則正しく食べるよう指導しているのだそうだ。

これを守れば、ほとんどの人が元の体系に戻る上に、毒出しもされるので、あとはエステをプラスアルファ的に施せば、劇的な変化はないにせよ、確実に「痩せた・美しくなった」という効果を実感する人が多いのだという。

要は、面倒くさいことを厭わず、日々規則正しい生活をすることが一番ということだ。

ところが忙しい現代人は、なかなかそういう生活をできない。
手間がかかるし、面倒くさい。

かくいう私がまさにそうで、この本が主張している「ベトナム人のようにコマメに食事」ということを億劫がり、少ない回数でドカ喰いをしてしまう傾向にある。

要するに「前より太った」、「デブになった」という状態は、現代人の「面倒くさい気持ち」が積み重なった結果なのかもしれない。

記:2016/11/25

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