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ブレイクスルー/ジョージ・アダムス&ドン・プーレン

ブレイクスルー/ジョージ・アダムス&ドン・プーレン

Breakthrough

ミンガス楽団出身の名コンビ

ジョージ・アダムスとドン・プーレン。

両者ともチャールス・ミンガスの楽団に所属していた、ひと癖もふた癖もあるツワモノゆえ、表現にはかなりのアクの強さを持つジャズマン2人といった感じだが、比較的このアルバムはあっさりと聴けるはずだ。

互いの音楽性、表現スタイルを熟知しているがゆえに、演奏の向かう方向に関しての認識が一致しているからということもあるだろうし、その匙加減をコントロールすることが出来る実力をも持ち合わせている、要するに名コンビによる演奏が続くわけだ。

ドン・プーレン(ピューレン)の十八番である「ピアノの鍵盤こねくりまわし奏法」はここでも健在。
これ、実際に真似をすると、とても痛いし、素人は怪我をするかもしれない弾き方なんだけど、このアルバムで何度も登場する「こねくり奏法」を聴いていると、誰もが簡単に出来そうな感じに聞こえてしまう。
まったくもって危なっかしさを感じるどころか、収まるべきところにピタリと寸分の狂いもなく収まっているところが凄い。

危なっかしくないといてば、ジョージ・アダムスのテナーも負けす劣らず抜群の安定感を醸し出し、特に日本では大人気の《ソング・フロム・ジ・オールド・カントリー》では、抜群の貫禄と存在感を見せ付ける。

これは「Mt.Fujiジャズフェスティヴァル」で演奏された際に大喝采を浴びたナンバーとのことだが、よく聴くと、いやよく聴かないでも、日本のジャズ喫茶で大ヒットしたといわれるハンク・モブレイの《リカード・ボサ》的な哀感が感じられ、おそらく日本人の琴線はこのあたりにあるのだろう。

非常にオーソドックスな演奏ゆえ、悪く言えばスリルのなさにも繋がり、本当は、かなりハードなことをやっているにもかかわらず、あっさりとした仕上がりに「錯覚」してしまうのかもしれない。

彼らだったら、もっとエグいことをやろうと思えば出来るはずなのに。
これが、最初に聴いたときの正直な感想。

そう、つまり、このアルバムでいえば2曲目のナンバー、《ジャスト・フーリン・アラウンド》のようなアグレッシブな演奏ね。

ただ、このアルバムの狙いは、やはりトガッた彼らの安定感をプレゼンテーションしようという目論見だったに違いない。

ボルテージ高めだが破綻のない演奏がズラリと並ぶ。
欲をいえば、もっと過激になっても良かったのだが、もてる力を7割程度に抑えても、十分に傾聴に値する良質なジャズを生み出す人たちなのだ。

個人的には、ミンガスのよき相棒だったドラマー、ダニー・リッチモンドの立体的なドラミングが、このアルバムの一番の聴き所だと思っている。

記:2019/05/18

album data

BREAKTHROUGH (Blue Note)
– George Adams & Don Pullen

1.Mr. Smoothie
2.Just Foolin’ Around
3.Song From the Old Country
4.We’ve Been Here All the Time
5.A Time for Sobriety
6.The Necessary Blues

Don Pullen (p)
George Adams (ts)
Cameron Brown (b)
Dannie Richmond (ds)

1986/04/30

YouTube

動画でもこのアルバムの解説をしています。

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