コーンブレッド/リー・モーガン

      2022/04/04

中身の熱さはオレンジ色のジャケットの如し

リー・モーガンの隠れ名盤といっても良いのではないだろうか?

アメリカ南部のパンというかお菓子というか軽食のことをさす、コーンブレッド。

ザ・サイドワインダーなどに比べれば、なんだか勢いと勇猛さに欠けるタイトルかもしれないが、中身の充実さ、演奏の熱さはジャケットのオレンジ色のごとし。

目モーガンに加え、ジャッキー・マクリーン、ハンク・モブレイというハードバップの申し子とでも言うべき3人組のコンビによるブロウを楽しめる。

肉と焼肉、焼肉のタレ

この3人、よくよく考えてみれば、いやまったく考えなくても無敵の3人じゃないですか。
ハードバップ好きにとっては。

肉で言うなら、肉汁たっぷりのステーキ。
いや、どちらかというと焼肉かな?

マクリーンやモブレイによる辛みと甘みの入り混じったテイストは、焼き肉のタレを連想させなくもない。

この音の組み合わせによるオイシさ。甘辛な肉汁ジューシー、空いた腹にガツンとくる感じは、悪かろうはずがない。

しかも、タイトルナンバーではマクリーンといいモブレーといい、2人のサックス奏者は、リーダーのモーガンを食うほどの熱いブロウを繰り広げている。

さらに、モーガンにとっては珍しい組み合わせともいうべきハービー・ハンコックの参加。

彼の理知的かつときにお洒落ですらあるピアノが、曲によっては「肉汁一直線」の一歩手前状態を保ち、流れを単調にさせない巧みな鍵盤さばきを見せつけている。

豪華な顔ぶれ、かつ、多彩な内容。

ボサ風のナンバーから、お得意のジャズロックテイストのナンバー、さらにファンキーなスタンダードナンバーまでと、なんでもござれのオイシさ凝縮の、贅沢な一枚。

このアルバムでドラムを叩いているビリー・ヒギンズに捧げられた《アワ・マン・ヒギンズ》が個人的には好き。

もちろん、これ以外にも聴きごたえのナンバーがズラリと揃っている。
《イル・ウィンド》の1曲を除けば、すべてがモーガンのオリジナル。このアルバムに臨む気合いのほどが伺える。

記:2010/05/15

album data

CORNBREAD (Blue Note)
- Lee Morgan

1.Cornbread
2.Our Man Higgins
3.Ceora
4.Ill Wind
5.Most Like Lee

Lee Morgan (tp)
Jackie McLean (as)
Hank Mobley (ts)
Herbie Hancock (p)
Larry Ridley (b)
Billy Higgins (ds)

1965/09/18

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