ダメージド/ブラック・フラッグ

      2019/05/25

Damaged

猛暑を吹き飛ばす疾走感

真夏に聴け!
真夏に聴いて猛暑を吹き飛ばせ!

狂ったような気温になればなるほど気持ち良い。

ヘンリー・ロリンズのシャウトや、グレッグ・ギンの攻撃的なギターはたしかに熱い。

しかし暑苦しくない。
暑苦しく感じないのは、彼らのスピード感。

この疾走感は半端ない。
ダルい暑さを軽く吹き飛ばすパワーがある。

ギターの歪みっぷりも心地よく、どちらかというと、エフェクターでいえば、ディストーションよりもオーバードライブをかけた感じの音色が、攻撃的なのに、どこか軽やかさもたたえており、それが聴き疲れしない一因なんだと思う。

肉食獣のように獰猛なギターなんだけれども、ランディ・ローズ的な暖かい歪み心地よい。

《TV パーティ》のようなピストルズ的パンクが持つのほほんさもあれば、疾走することだけが目的のようなナンバーも多く、それがとても気持ちよいのです。

8ビートのド真ん中

これは、1981年の作品だ。

順序が逆だけども、ニルヴァーナを聴いた後、こちらを聴くと、いかに彼らに音楽面や精神面においても影響を与えていることがよくわかる作品だ。

また、ブラックサバスにさかのぼって聴くと、すっきりと頭の中でピースが嵌まる。

卓越した技術を持つ故・諸田コウが在籍した、ジャパニーズ・ハードコアのバンド、ドゥームが私は好きだった。

Complicated Mind

変拍子、テクニカルなリフなど、卓越したテクニックがいたるところに盛り込まれ、破壊的にエッジの立ったサウンドを放っていたバンドだが、そのありったけのテクニックゆえに、時折聴き疲れしていたことも確か。

しかし、ブラックフラッグのこのアルバムは、とにかく8ビートど真ん中のど疾走。

各曲、もちろんテンポやアプローチは変わるものの、基本は「ワン、ツー、スリー、フォー!」で始まったら、ひたすら8ビートで曲の最後までぶち進む。

中には、もっと聴いていたいと思わせる潔いほど短時間で演奏が終わるナンバーもあり、そこがまったく疲れることなく最後まで一気に聴かせてしまう一因なんだろう。

ヘヴィなんだけど、そのスピード感が心地よく共存しており、単なる破壊的という言葉では収まらない、非常に音楽性の高い1枚だと感じている。

記:2018/07/26

album data

DAMAGED (SST)
- Black Flag

1.Rise Above
2.Spray Paint
3.Six Pack
4.What I See
5.TV Party
6.Thirsty and Miserable
7.Police Story
8.Gimmie Gimmie Gimmie
9.Depression
10.Room 13
11.Damaged II
12.No More
13.Padded Cell
14.Life of Pain
15.Damaged I

Henry Rollins(lead vocals)
Greg Ginn(lead guitar, backing vocals)
Dez Cadena(rhythm guitar, backing vocals)
Chuck Dukowski(bass, backing vocals)
Robo(drums, backing vocals)
Steve "Mugger" Corbin(backing vocals)

Recorded:1981/08
Released:1981/12/05

 - 音楽