ブルーマウンテン・メモ

   

coffee_cup

たしか阿刀田高の『ぬり絵の旅』だったと思うが、

“東京でコーヒーのおいしい土地はどこだと思う?
正解は青山。英語でブルーマウンテンだから”

といったセリフがあった。

ベタな駄洒落だが、高校時代に、ちょっと枯れた男女の会話が軽妙で、かつ切ない大人の男女の生き様を描いた『ぬり絵の旅』を読んだ私は、妙にこの会話の部分を気に入り、以後、コーヒーといえばブルーマウンテンという、妙な刷り込みというか先入観が出来上がってしまっている。

ぬり絵の旅 (角川文庫)ぬり絵の旅/阿刀田高

家で飲むコーヒーはインスタントだが、専門店でコーヒーを飲むときは、ブルーマウンテンが候補の筆頭。あとは、メニューに書いてある値段と相談ということで(笑)。

まぁ、高いので、そうしょっちゅうしょっちゅう飲んでいるコーヒーというわけでもないんだけどね。

でも、たまに飲むとやっぱりおいしいコーヒーだ。“コーヒーの王様”と呼ばれるだけのことはある。

そんな、おいしいブルーマウンテンで知ったことをいくつか箇条書きでメモ。

ブルーマウンテンの産地は、ジャマイカ。輸出している港はキングストン。

ジャマイカという国名の由来は、先住民族が呼んでいた「ザマイカ」。“森と水の大地”という意味がある。

ちなみに島の中央部や、西部で採れたものはハイマウンテン、プライムウオッシュトと呼ばれる。

ブルーマウンテン地域は、昼夜の温度差が大きく夕暮れ時は濃霧に包まれ、これが成熟にゆっくりと時間を掛けさせる効果となる。また、適度な涼しさと適度な降雨量でもあり、コーヒーの木を育むのには理想的な環境といえる。

コーヒー農園は、急峻な斜面にある。急峻な斜面での水はけは、コーヒーの木が育つのにちょうど適しているが、このような環境下での栽培や収穫は、機械化が困難ですべて手作業で行われている。完熟した赤い実だけが一粒ずつ手で摘み取られているのだ。

ジャマイカで植えられているコーヒーの種類はティピカ(Typica)種。18世紀初頭にマルチニク島からセント・アンドリュー島へもたらされ、その後18世紀中にハイチからジャマイカへ持ち込まれた。品質的には素晴らしいが、収量の少ない品種だ。

苗木1つ作るにも政府の許可が必要。苗木を他の農園に移植する際は、役人が苗木を検査する必要がある。発育が不十分なものや、病気のものは移植が禁止されてしまう。

年間1,700トン近くの輸出量のうちの90%以上が、なんと日本向け。アメリカやヨーロッパ向けは、残り10%以下なのだという。

日本人は、他の生産国の相場の5倍以上の高値で購入してくれると、輸出港・キングストンの貿易業者はホクホク顔らしい。

現地の人はブルーマウンテンを飲んだことが無いのか、高価なため感心がないのか。

ある観光旅行者の話によると、現地でジャマイカ人に「ブルーマウンテンってどっち?」と尋ねても、興味なさげに「あっち」とぞんざいに指差すだけだという。

品質によって上級から、No.1,No.2,No.3と番号が付けられている。この格付けは豆の大きさで付けられる。

ブルーマウンテンのコーヒー豆は、“樽詰め”にされて輸出される。

酒と違って、匂いがつくとまずいので、樽の素材は“ほぼ無臭”な北北米産の「白樫(シロカシ)」が使われている。

ブルーマウンテンのコーヒー豆は、“樽詰め”にされて輸出される。

酒と違って、匂いがつくとまずいので、樽の素材は“ほぼ無臭”な北北米産の「白樫(シロカシ)」が使われている。

以上。

記:2003/11/04

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