奄美・歴史探索の旅 1

   

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text:高良俊礼(Sounds Pal)

遺跡 遺構

散歩をしている時に、ふと「行ってみようか」と思うことがある。

それは、街の奥まったところにある、どこへ繋がってるか分からない路地だったり、道路脇にある山道だったりする。

案外普段は気付かずに通り過ぎてしまうか、気付いても「まぁいいか」と、さり気なく通り過ぎる場所が多いが、どうにも“ピン”ときて、好奇心がうずく場合は、踏み入れてみないと落ち着かない。

そういう場所というのは、歴史的な建造物があったり、かつて間違いなく人がそこで生活していたであろう痕跡があったりする。

予知している訳ではないが「臭うぞ」と思ったところをしばらく行くと、突如目の前に、そういうちょっとして遺跡や遺構のようなものが待っていたかのように現れるのだ。

名瀬 新川 十字路

名瀬の街を流れる新川沿いを海に向かって歩くと、河口付近の十字路がある。橋を渡ると海側に接骨院、山すそに駐車場があるが、前々からその山すその側に積まれている古い石群が気になってはいた。

よくよく近づいてみると、長方形に整えられたかなり古い年代の石である。

形状からして人の手によって削られて、何らかの目的でここに詰まれたものであることは間違いない。

人の話によると、この一帯は何でもいわくつきの場所らしいが、なるほど確かにそう言われたからか、多少は怪しい雰囲気がしないでもない。

私は怖がりなのでその類の話にはとても弱いが、最近いろいろと思うところがあって「恐怖というのは、“何があるか分からないこと”から生まれるのではないか?」と思うようになって「何だこれは?」と、思うところには、なるべく足を踏み入れて、「そこに何があったのか」を、なるべく目で見て確認することにしている。お陰で最近私の“ビビリ病”は大分改善されてきた。

奄美 歴史探索

さて、その十字路横の「山」であるが、麓にそういう“いわく”があるのなら、上には別の何かが必ずあるだろうと私は思った。

駐車場に入って山肌をじっくり観察すると、どうも人が手入れしたとおぼしき石垣の跡のようなものが、こちら側にもやっぱりある。

斜面を見上げれば、後から生えた広葉樹に日差しを遮られたか、枯れかけた蘇鉄の木が斜めに生えていた。

「やっぱり何かある」

そう思って私はやおら斜面を這い上がってみたい衝動に駆られた。

これが、私の「奄美の歴史探索の旅」の始まりであった。

「奄美・歴史探索の旅 2」に続く

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●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル

※『奄美新聞』2011年5月28日「音庫知新かわら版」記事を加筆修正

記:2014/10/11

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