カフェモンマルトル

text:高野雲

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いつものやつ頂戴

      2015/05/31

drum_set

先日、女房と息子を連れて、近所のイタ飯屋に行きました。

月に最低1回は顔を出す、かれこれ10年近く通っている行き着けのイタ飯屋は、歩いて20分のところにあるのですが、今回行ったお店は、歩いて2分の近所のお店。

昨年の春に新しく開店した店ですが、この店が開店する前も、イタ飯屋でした。

ただ、メニューのレパートリーが少ないのが災いしてか、それとも価格の問題なのかはよく分かりませんが、閉店してしまったのです。

ほどなくして、昨年に新しいイタ飯屋がオープン。

内装も前のイタ飯屋のレイアウトが踏襲され、それほど大きな変化はありません。

違うのは人と料理といった感じ。

ここのところ、この店の前を通るときに中を覗くと、閑古鳥なことが多かったので、たまには行ってみるか、と思ったのです。

開店当時に比べると、メニューも増え、コースの内容も充実してきたと感じるのですが、いかんせん、肉料理の味が、うーん、以前に比べて落ちたのでは……?

昨日は、私と女房は牛フィレのレア、息子は鴨肉がメインディッシュだったのですが、うーん、ちょっとソースがいまいち、なんだよなぁ。

ま、それはいいとして、デザートを食べながら息子は、「俺、ドラムたたきたいから、あの店行ってきていい?」と言い出しました。

あの店とは、近所の音楽バーです。

休日はライブハウスと化すこのお店には、ベース数台とベースアンプ、ギター数台とギターアンプが数台(その中の1台は女房のギターアンプを置かせてもらっている)、キーボード数台に、電子ドラムが置いてあるので、楽器をやっている人にとってはオイシイお店なのです。

ドラム好きの息子は最近電子ドラムで8ビートを練習することにハマっていて、たまに連れてゆくと、ドラムを30分ほど叩き、カラオケで「かいけつゾロリ」の歌を2種類、それと「魔法戦隊マジレンジャー」を調子っぱずれに歌っています。

じゃあ、1人で行って叩いてこいよ。

チャージ料とドリンク一杯分の金額を渡し、息子1人で、その店に行かせました。

私は、書きかけの原稿の直しがあったので、まずはそれを仕上げてしまわねば、と思い自宅でPCとにらめっこ。

一時間ぐらいしてひと段落してから、店に顔を出しました。

店にはマスターと息子しかいません。

日曜日の夜ですからね。

マスターはカウンターの中、息子はカウンターで頬杖をついていて、店の照明も落とされているので、まるで閉店した後のような雰囲気です。

店内のモニターには、クリント・イーストウッド監督の『ピアノ・ブルース』の映像が流れています。私が観たいときにいつでも店で観れるために置いてある“置きDVD”ですね。

マスターは子供相手に何を話していいのか分からず、息子もドラムを一緒に叩く相手がいないので、つまんなそうにカウンターでウーロン茶を飲んでいたようで。

『ピアノ・ブルース』でも観てりゃいいじゃん!(笑)

マスターの話によると、息子は、店に入ってくるなりカウンターに座り、「いつものやつ」と言ってドリンクを頼んだそうです。

いつものやつ(笑)。

ウーロン茶なんですけどね(笑)。

マスターと息子と私。

しばらく、3人で店内でまったりしていました。

ほどなくして、店の常連や、新しいお客さんもやってきて、少し店の空気も活気付いてきました。

いつもリズムが途中で捩れてしまう息子には、とにかくスローなテンポでリズムキープが出来るよう、電子ドラムに内蔵されているメトロノームにあわせて叩いてもらい、慣れてきたところで、このテンポに合う曲ということで、ビートルズの《イエスタデイ》を練習がてら演奏してみました。

マスターが歌とギター、私がベース、息子はひたすらバスドラとスネアだけでリズムキープ。

曲自体が短いので、なんとか演奏が崩壊せずに無事一曲やり通せました。

息子のドラムはまだまだですが、それでも店にくるたびに以前よりもほんの少しずつですが、ダメだと思っていた課題が克服されていくので、あと百回ぐらい通わせれば、少しはマトモに人前で簡単なリズムを叩けるようになるのでは、と思っています。

記:2006/03/27(from「趣味?ジャズと子育てです」)

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