工事現場用デジカメと局地戦闘機

      2015/05/23

big_jobFUJIFILM HD-1 BIGJOB デジタルカメラ

昨年の秋にSANYOのザクティを買ったばかりだが、今年の頭に再びデジカメを買ってしまった。

フジフイルムの工事現場専用カメラ“Big Job HD-1”だ。

この「ビッグジョブ」は、昨年の2月に発売されたカメラなのだが、発売直前に、このカメラのデザイナーから大変興味深い話を伺うことが出来、なおかつ、このインパクトのある外観にシビれたので、ものすごく購買意欲がくすぐられたのだ。

しかし、当時は、オリンパスのキャメディアを愛用していたことに加え(ルックスはいまひとつだが使い勝手が良く、低解像度でも画像がキレイ)、このビッグジョブの定価が7万円代と微妙な値段だったので、購入はグッと我慢していた。

工事現場用のカメラというだけあって、軍手をしたまま操作が出来ることが前提。

だから、シャッターやモード切り替えなどのボタンやダイアル類が大きく、とても操作しやすい。

さらに、このカメラのデザイナーの方は、大のプラモ好きだということが分かった。

「こだわりがありそうだぜ」と思っていたら、「やはり!」だった。

特に、彼は触感にこだわっていた。

右手のグリップは、なんと缶コーヒーからヒントを得たそうで、直径が缶コーヒーよりやや小さめだが、言われてみればグリップ感はたしかに似ている。

シャッターを切るときに手ぶれを起こさないためには、グリップ感って結構重要なのだ。

さらに、ダイアル部分にもこだわりを見せ、衣服のボタンと同じ大きさを採用しているのだ。

この大きさにたどり着くまでには、数千個の衣類のボタンを触ったというのだから恐れいる。

潜水具を連想させるモニター周辺の丸い窪みに、むき出しのネジ止め。メカ好きにはたまらないデザインなのだ。

ほかにも、鋼(はがね)な感じを強調するために、加工処理の面倒なクロームメッキが施されているなど、カユイところにもコダワリが溢れている。

さらに、レンズの周囲にメタルレッドのリングをアクセントとして配するという洒落っ気も忘れていない。

このメタルレッドのリングがなければ、私はこのカメラには見向きもしなかったかもしれない。

それぐらい、アクセントとして、またスパイスとして効いているデザインなのだ。

デジタルカメラがどんどんコンパクトになってゆく昨今、このような大きめのボディの武骨なカメラは貴重な存在といえる。

工事現場用のカメラとしては洗練されたデザインは、同社の少し前のタイプや、リコーの「現場監督」という工事現場用カメラと比較すると、なかなかオシャレなルックスだといえる。

道具としてガンガン使い込みたくなるようなタフな外観と、洗練されたルックスが共存しているのがビッグジョブ HD-1の魅力だ。

レトロだが、近未来的な感じもするデザインのこのカメラが手元にあれば、もうそれだけで大満足な私なのだが、性能もなかなかのようだ(まだあまり使い込んでないからなんともいえないんだけどね)。

工事現場用カメラということもあり、現場の細かいところを正確に記録できなければならない。

なので、細部のディティールの記録性が非常に優れているらしい。

特に、大きく引き伸ばせば引き伸ばすほどその良さがわかってくるのだという(まだプリントアウトしていないから分からないけどね)。

さらに、防水、防塵はあたりまえ。

ハードな環境にも耐える設計も嬉しい。

しかし、やっぱり、私にとってこのカメラの最大のツボは“工事現場用”という冠(かんむり)だ。

私は建築関係の仕事はしていないが、“工事現場用”という言葉って、非常にそそられると思いませんか?

工事現場に限らずとも、シチュエーションを限定した道具って魅力的だと思いませんか?

陸戦型ガンダムとか(笑)。

万能でどのようなシチュエーションにおいても平均的な性能を発揮する汎用性の高い道具や兵器よりも、限定された環境の中で最大限の性能を発揮できる道具にシビれてしまう私は、根っからのガンダム世代なのか……。

拠点防衛用ガンダムとか、デザート・ザクとかね(笑)。

ミリタリーにおいても、自国の環境と兵器の運用思想を具現化したイスラエルのメルカバ戦車も大好きだし、戦略偵察機のロッキードSR-71ブラックバードも、“戦略偵察”という響きがたまらなく魅力だ。

飛行機といえば、私が好きな飛行機に、月光、そしてドイツのウーフーがある。

両機ともに夜間戦闘機だ。

夜に戦闘シチュエーションを限定した戦闘機、夜間戦闘機。

うーん、なんとも魅力的な響きだ。

紫電や紫電改は、その性能や実績は認めるが、じつはルックスはあまり好きではない。

しかし、局地戦闘機という枕がつくと、もうそれだけで魅力的な響きに感じてしまう。

局地戦闘機といえば、試験飛行の直後に終戦を迎えてしまった幻の戦闘機、震電もそうだ。

局地戦闘機・震電を短縮して“局戦震電(きょくせんしんでん)”という言葉を発してみるだけで、私の背中にはサーッと冷たい電流が走る。

くーったまんねぇ。マイルス・デイヴィスの『パンゲア』を聴いても、これほどまでに強烈な電流は走らない。

さらに、「日本海軍十八試局地戦闘機震電」を短縮して、“十八試局戦震電”という言葉を目にしたり、耳にしたり、口にするだけで、私の脳と眼前に凄まじい稲妻が通り過ぎ、目頭が熱くなる。

だから、遠く、空を見上げるのだ。涙がこぼれないように。《上を向いて歩こう》かい!!

ま、とにかく理由はよく分からないが、いつもそうなのだ。

ちなみに、私は佐々木譲の初期に書かれた小説タイトルも口にするたびに、背筋がシャキッとなり、感動の電流が全身をかけめぐる。

『ベルリン飛行指令』
『エトロフ発緊急電』
『ストックホルムの密使』
『昭南島に蘭ありや』
『ワシントン封印工作』

ね? グッとくるタイトルでしょ? え?こない?

ちなみに、『エトロフ発緊急電』がNHKでドラマ化された際のタイトル、『エトロフはるかなり』も、涙を誘うタイトルだったなぁ。

とまぁ、工事現場用カメラと局地戦闘機、よく分からん話になってしまったが、とりあえず、この新しいデジカメは、これからガンガン使い込んでいこうと思う。

記:2005/01/08

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