カフェモンマルトル

text:高野雲

*

「まず旨さ」が魅力のチキンラーメン・ビッグカップから揚げレモン&ペッパー

   

Pocket

あか抜けない古き良き昭和テイスト

日清チキンラーメンの魅力は、あか抜けない「まず旨さ」だと思っている。

昭和33年(1958年)に誕生した即席ラーメンの元祖というだけあって、最近の洗練された袋ラーメンにはない武骨かつ不器用な昭和テイストを放ち、要するに野暮ったい。

しかし、そこが魅力だったりもする。

無難に旨いのではなく、旨過ぎない魅力というのかな?

要するにB級(C級?)グルメ心をくすぐる要素があるんだよね。



スポンサーリンク


コンビニで衝動買い

とはいえ、最近はとんとチキンラーメンにはご無沙汰していた。

あまりインスタントを食べなくなったことと、最近は年をとってきたためなのか、ラーメン心よりも蕎麦心の比率のほうが圧倒的に高くなってきたということもある。

蕎麦は昔から好きだったけど、さらに最近はそれに輪をかけるように。

だから、自宅ではとんとインスタントラーメンを作ることがなくなったし、同じ麺類を作るなら、蕎麦やそうめんを茹でるって感じ。

しかし、先ほどたまたま、コンビニに行った際、チラリと左目が棚に鎮座する物体を捉え、脳がピクリと反応したのが「チキンラーメン」の「から揚げレモン&ペッパー」だった。

その時点では「蕎麦脳」になっていた私の頭が一気に「チキンラーメンモード」に切り替わった。

チキンラーメンのバリエーション

最近は、「ぶっこみ飯」や「トリプルチーズ」、あるいは「焼きチキン」など、いくつかのバリエーションが出ていることは知っていた。

また、ガッキー(新垣結衣)をCMに起用し新たな食べ方の提案をしていたりと、昭和33年生まれのチキンラーメンは、新たな価値が付加されることによって、ロングセラーとしての延命が保たれている。

そういえば、1958年といえば、その年の翌年の1959年に、マイルス・デイヴィスは名作『カインド・オブ・ブルー』を録音している。

参考:カインド・オブ・ブルー/マイルス・デイヴィス

チキンラーメンも『カインド・オブ・ブルー』も、時代を越えて今なお多くの人々から愛され続ける超がつくほどの定番だ。

しかし、現在のジャズは、『カインド・オブ・ブルー』の方法論に則った演奏をされる場合もあるものの、あの時代のジャズが放つ芳香やテイストとはまったくの別物となってしまった。

しかし、チキンラーメンは、細かなリニューアルを繰り返してはいるのだろうが、依然としてチキンラーメンとしてのテイストを失うことなく、今の世に継承されている。

これはかなり凄いことだ。

あ、もっとも私は昭和33年にはまだ生まれていないので、当時のチキンラーメンの味は知らないけれど。

喫茶店のマズいナポリタン的な旨さ

さて、余談が過ぎたようなので話を元に戻す。

最近は滅多にインスタントラーメンを食べなくなった私だが、今回のチキンラーメンのカップラーメンバージョンは、なぜかそそられたので、試しに喰ってみよう!と思い、買ってみた。

で、食べた。

結論を先に言っちゃうとマズ旨かった。

マズいところが旨かった。

これ、柳沢きみおの『大市民』のスパゲティナポリタンのセリフで、この漫画では、昔ながらの喫茶店が出すナポリタンを食する主人公が「まずい!しかし、そこが美味し!」みたいなセリフを発するのだが、まさにそれと同じだ。

レモンの粉末

さて、このチキンラーメンを特徴づける最大のアイテムが、レモンの袋だ。

「レモン」というのが意外というか新鮮ですね。

油っぽさをあえて前面に出しているチキンラーメン独特のテイスト。

それがチキンラーメンをチキンラーメンたらしめているのだが、あのチキンラーメンならではの独特の油っぽさを緩和する役割をレモンが果たしているのかな?

そんなことを思うだけでもお湯を沸かしている間も想像が翼を広げてキッチンの周りをパタパタと羽ばたき始める。

さらに、そのレモン味の粉末の袋が、あえて別の袋にはいっていてカップの外側の上蓋のところにパッキングされているところが「特別感」が漂っており、否が応でも期待が膨らむではないか。

から揚げ

さらに、から揚げ。

パッケージには大きめの肉の写真が掲載されているが、実際にカップの中に入っている「から揚げ的物体」の大きさはそうでもなかった。

ぶっちゃけ、カップヌードルのノーマルバージョンにはいっている乾燥肉っぽい具がもう少し大きくなったようなものだね。

もちろん、まずくはない。

いや、むしろ、このチープな感じが「今、俺はカップ麺を食っているぜ!」という実存感を強調させてくれるともいえる。

ツルツル麺

麺に関してはだが、袋めんバージョンのチキンラーメンの麺は、よい感じに縮れているため、スープの絡みが絶妙であることに加え、口の中でのモシャモシャ感もなかなかのバランスだ。

それに比べると、カップラーメンバージョンのチキンラーメンの麺は、かなりツルッとした印象。

特に表面が。

チキンラーメンの麺には違いがないのだが、なんとなく現代風な手ごたえを感じる。

ゆえに、昔ながらの袋タイプに馴染んだ者が、麺にも同様のテイストを求めると、肩透かしを食らう可能性がある。

似て非なるものというか、根っこの部分は同じなのだが「装い新たに」感がある。

つまり、それは『カインド・オブ・ブルー』に収録されている《ソー・ホワット》と、ジョン・コルトレーンの《インプレッションズ》はコード進行が同じで、モードジャズ特融のアプローチで演奏されている作品であるにもかかわらず、まったく曲の雰囲気が異なるのと似ているのかもしれない。

参考:インプレッションズ/ジョン・コルトレーン



スポンサーリンク


味の変化を楽しむべし

さて、今一度感想を述べるとすると、袋にはいったレモンの粉末は、最初からいきなりかけるべからず。

味の変化を楽しめないからだ。

最初の一口、二口は、粉末をふりかけずに食し、従来のチキンラーメンとの味の比較をしてみると良い。

ツルッとした平成的スピード感とは縁遠い、昭和的なモッサリ感はあいかわらずチキンラーメンならではの味わいだが、やはり袋めんバージョンのチキンラーメンとは異なる微妙に洗練された味わいを楽しもう。

そして、数口食べた後に、好みの量でレモン風味の粉末をかけてみよう。

レモンの粉末

この粉末をふりかければ、たしかにレモンの香り、テイストはする。

しかし、チキンラーメンとしての本質的な部分はまったく変わらないことも確か。

依然としてチキンラーメンとしての骨太な存在感は、大地に根を下ろすかの如しだ。

つまり、人間でいえば腕時計をしているか否か、ネックレスをしているか否か程度の違いだということだ。

アジアンテイスト?

個人的には、なんだか昔タイで食べた麺(フォーだったっけ?あれ、フォーはベトナムだよな)を思い出した。

レモン粉末をかけた後のスープをゴクリと飲むと、高度経済成長期の煙突もくもくのかつての日本の風景から、一気に車とバイクで渋滞しまくったバンコクへとタイムスリップかつランドジャンプをしたかの気分になる。

なんとなくアジアなのだ。

これにパクチーなどを乗せたら、さらにエスニックな情緒が増すことだろう。

あくまで個人的な感想だが、このチキンラーメンは、日本よりも東南アジアをマーケットにしたほうがより売れるのではないだろうか?

もっとも、その場合は、レモン胡椒の粉末の量はもっと増やしたほうが良いかもしれないね。

最近は在日アジア人も多い日本だから、もし、このサイトに偶然辿り着き、かつ日本語が読めるアジア出身の方は、ぜひ「チキンラーメン・ビッグカップから揚げレモン&ペッパー」にトライしてみよう!

記:2017/09/25

 - 雑想 雑記 , ,

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。