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ジャズと映画と本の日々:高野雲

ヤマハでヤマハらしからぬ自作曲の発表会

      2015/05/23

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mushikago

先日、息子のピアノの発表会に行ってきました。

今回の発表会の趣旨は「自作曲を披露する」です。

息子が作ったモチーフに私がコードをつけ、教室の先生とのやり取りを重ね、少しずつ完成に近づけていった曲です。

しかし、私が関ったのは途中まで。

途中からは私の仕事が忙しくなったので、女房がアレンジの続きを引き継ぎ、再度、先生とのやり取りを重ねた末にようやく完成したようです。

だから、最終的にはどういう曲が完成したのか、昨日になるまで、私は知らなかった。

メロディを息子、伴奏を女房が担当という連弾で出ることになり、昨日、会場に行く前にはじめて完成した曲の演奏を聴いたのですが、なんというか、最初の段階での複雑怪奇な構成が、ものすごくスッキリとアレンジされていました。

最初は、息子が作ったモチーフの中からオイシそうなフレーズをあれもこれもと盛り込んで、もはや組曲になってしまうんじゃないかというほどの欲張った内容だったのです。

しかし、女房が担当するようになったら、余分なフレーズや展開がバッサリと切り捨てられ、非常にシンプルな曲に修正されていました。

せっかく色々な要素を取り入れたのにモッタイ無いと最初は思いましたが、ま、これで正解なのかな?とも思ってきました。だって、複雑すぎると、今度は息子がついていけませんからね。

タイトルは、《ボクの夏休み》。

「夏休みに奄美大島に行ったときの思い出を曲にしたそうです」と司会者のアナウンスがありました。

あれ? この曲を作り始めたのって、奄美に行く前なのになぁと思いつつも、どうやら、息子は「夏休み」という言葉にこだわっていたようなので、そのまま「夏休み」がタイトルになったようです。

奄美旅行の前に作ったにもかかわらず、言われてみると、なんだか奄美な感じがしないでもない(笑)。

重く暑くベッタリした感じが、なんとも先日訪れた奄美な感じなのです。

Aメロの部分は、中期から後期にかけてのコルトレーンの演奏に見られた、マッコイ・タイナーのモード風反復ピアノの伴奏。

この箇所が流れただけでも、会場には異色な空気が流れました。

だって、ほかの子供たちが作った曲は、“いかにもヤマハ音楽教室!”なテイスト漂う、ブルグミュラーやバイエルを乙女チックにキラキラさせたアレンジの曲ばかりなのですから。

ははぁ、この子たちの作った曲のアレンジは、ヤマハの先生たちがやったんだなとすぐにわかってしまうほど、教科書的な折り目正しいアレンジばかりでしたから。

「ハキハキした優等生で、先生好みの明るい元気な子!」って感じのアレンジです。

うーん、“ヤマハテイスト”っていう作風もあるのだなぁと思うほど、似通ったアレンジには逆に感心してしまいました。

そいういう演奏がひとしきり続いたあとに、例の私と女房がアレンジしたモード風の反復和音が冒頭に登場するのですから、キラキラした“でぃずにーらんど”な世界の会場が一気にダークに濁ってゆくのが感じられ(笑)、あきらかに「場違い」な空気が生まれました。

ほとんどの子たちが弾くメロディが長調だったのに対し、息子が奏でる右手は、思いっきり短調。

しかも、板橋文夫の『渡良瀬』を彷彿させるような、土臭い「農」の要素を感じさせる、重たくドンくさいメロディです。間違ってもお星様のようにキラキラしていません。

さらに、サビのメロディは、パクッたんじゃないかと思うほど、スタンダードの《あなたは恋を知らない》にそっくりのメロディが登場。

最初は、ここのフレーズはホールトーンスケールを使った、黒鍵だけのフレーズだったはずなのに、いつのまにかわかりやすいメロディに改変(改悪?)されていたのです。

とにもかくにも、コルトレーンの《オレ!》と《マイ・フェイヴァリット・シングズ》と、ウイントン・ケリーの《朝日のように爽やかに》に、カサンドラ・ウイルソンの《あなたは恋を知らない》を足して4で割り、さらにそれをものすごくシンプルにカンタンに薄めたあとに、板橋文夫の重たい「和&農」の要素や、ダラー・ブランド的な「土」の香りが加わった曲が演奏されたわけです。

ヤマハで(笑)。

とても「ヤマハ音楽教室」で習った生徒の曲とは思えない重くダークで、土臭い、「よっこらせっ!、どっこらしょ!」なテイストは、たしかに奄美大島と言われたら、そういう気がしないでもない作風です。

発表会の休憩の時間に、ほかのお友だちのお母さんたちから「スゴイね」と感心されていたので、本人もマンザラじゃないようでした。

でも、それは、息子が適当に弾いたモチーフを編集してコードをつけ、さらに弾きやすいようにアレンジと編集とメロディの簡略化をほどこした女房のお陰なので、スゴいのは息子ではありません(笑)。

ただ、ヤマハな作風に染まらない、異色な(というよりも、単にジャズ風な)テイストの演奏を発表会で息子が披露できたことは、とても面白い体験となりました。

来年もこのような機会があれば、参加させたいと思います。

記:2005/09/19(from「趣味?ジャズと子育てです」)

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