カフェモンマルトル

ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

外郎売りで滑舌トレーニング

      2015/12/17

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mic

私はラジオ番組で喋った経験がこの年齢になるまでにはなく、寺島靖国さん、岩浪洋三さんの番組には数度ゲスト出演をしたことがあるぐらいのなか、いきなりメインのパーソナリティになったわけなので、これはきちんと喋れるようにならなければ聴いている方に申し訳ないぞ!という気持ちでいっぱいでした(今でもいっぱいです)。

話す内容に関してはいきなり付け焼刃で勉強しても底が見えてしまうことは必至なので、話す内容の知識強化よりも、話す内容に説得力を持たせる訓練をしたほうが良い、出来れば、自分の話す一言一言が、流れず、すべらず、かまずに、きちんと相手に届く声になること、そう、声を磨きあげることが重要だと思い立ったわけです。

しかし、どう訓練していいのかがわからない。

とにもかくにも大きな書店に行き、発声に関する本をかたっぱしからチェックをし、その中の何冊かを購入して、パラパラと読み進めました。

しかし、どうも付属のCDなどにあわせて、「あーあーあー、あっ、あっ、あっ」と言っても、まあ、これを繰り返せば声はハッキリとするのかもしれないのだけれども、なんだか無味乾燥な練習で面白く感じられない。

もっと楽しく、効果的な方法はないのだろうか?と思っていました。

そんななか、ディレクター嬢の荒ヶ田貴美さんから、「外郎売りを3分以内にかまずに読めれば相当なものよ」と勧められました。

これは、歌舞伎十八番の語りで、「曾我物」のひとつ『若緑勢曾我』の一幕を一部を独立させたものなのだそうです。

荒ヶ田さん曰く、声優も役者もまずはこれを読む訓練をして、滑舌をよくしているとのこと。

彼女自身も昔はこれで訓練をしていたとのことです。

この「外郎売り」は、享保3年 (1718) 正月、江戸 森田座で初演されたもので、「外郎売実ハ曾我五郎」は二代目市川團十郎(市川海老蔵のひいお爺さんのひいお爺さんのひいお爺さんの……)が勤めたそうです。。

▼内容は以下の通り

拙者親方と申すは、御立会の内に御存知の御方も御座りましょうが、
御江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町を御過ぎなされて、青物町を上りへ御出でなさるれば、
欄干橋虎屋藤右衛門、只今では剃髪致して圓斎と名乗りまする。
元朝より大晦日まで御手に入れまする此の薬は、
昔、珍の国の唐人外郎と云う人、我が朝へ来たり。
帝へ参内の折から此の薬を深く込め置き、用うる時は一粒ずつ冠の隙間より取り出だす。
依ってその名を帝より「透頂香」と賜る。
即ち文字には頂き・透く・香と書いて透頂香と申す。
只今では此の薬、殊の外、世上に広まり、方々に偽看板を出だし、
イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、平仮名を以って「ういろう」と記せしは親方圓斎ばかり。
もしや御立会の内に、熱海か塔ノ沢へ湯治に御出でなさるるか、又は伊勢御参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
御上りなれば右の方、御下りなれば左側、八方が八つ棟、面が三つ棟、玉堂造、破風には菊に桐の薹の御紋を御赦免あって、
系図正しき薬で御座る。
イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、御存知無い方には正真の胡椒の丸呑み、白河夜船、
されば一粒食べ掛けて、その気味合いを御目に掛けましょう。
先ず此の薬を斯様に一粒舌の上に乗せまして、腹内へ納めますると、イヤどうも言えぬわ、胃・心・肺・肝が健やかに成りて、
薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。
魚・鳥・茸・麺類の食い合わせ、その他万病即効在る事神の如し。
さて此の薬、第一の奇妙には、舌の廻る事が銭ごまが裸足で逃げる。
ヒョッと舌が廻り出すと矢も盾も堪らぬじゃ。
そりゃそりゃそらそりゃ、廻って来たわ、廻って来るわ。
アワヤ喉、サタラナ舌にカ牙サ歯音、ハマの二つは唇の軽重。
開合爽やかに、アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ。
一つへぎへぎに、へぎ干し・はじかみ、盆豆・盆米・盆牛蒡、摘蓼・摘豆・摘山椒、書写山の社僧正。
小米の生噛み、小米の生噛み、こん小米のこ生噛み。
繻子・緋繻子、繻子・繻珍。
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親嘉兵衛・子嘉兵衛、子嘉兵衛・親嘉兵衛。
古栗の木の古切り口。
雨合羽か番合羽か。貴様の脚絆も革脚絆、我等が脚絆も革脚絆。
尻革袴のしっ綻びを、三針針長にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ。
河原撫子・野石竹、野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。
一寸先の御小仏に御蹴躓きゃるな、細溝にどじょにょろり。
京の生鱈、奈良生真名鰹、ちょと四五貫目。
御茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ。茶立ちょ、青竹茶筅で御茶ちゃっと立ちゃ。
来るわ来るわ何が来る、高野の山の御柿小僧、狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。
武具、馬具、武具馬具、三武具馬具、合わせて武具馬具、六武具馬具。
菊、栗、菊栗、三菊栗、合わせて菊栗、六菊栗。
麦、塵、麦塵、三麦塵、合わせて麦塵、六麦塵。
あの長押の長薙刀は誰が長薙刀ぞ。
向こうの胡麻殻は荏の胡麻殻か真胡麻殻か、あれこそ本の真胡麻殻。
がらぴぃがらぴぃ風車。起きゃがれ子法師、起きゃがれ小法師、昨夜も溢してまた溢した。
たぁぷぽぽ、たぁぷぽぽ、ちりからちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一丁蛸。
落ちたら煮て食お、煮ても焼いても食われぬ物は、五徳・鉄灸、金熊童子に、石熊・石持・虎熊・虎鱚。
中でも東寺の羅生門には、茨木童子が腕栗五合掴んでおむしゃる、彼の頼光の膝元去らず。
鮒・金柑・椎茸・定めて後段な、蕎麦切り・素麺、饂飩か愚鈍な小新発知。
小棚の小下の小桶に小味噌が小有るぞ、小杓子小持って小掬って小寄こせ。
おっと合点だ、心得田圃の川崎・神奈川・程ヶ谷・戸塚は走って行けば、灸を擦り剥く三里ばかりか、
藤沢・平塚・大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、早天早々、相州小田原、透頂香。
隠れ御座らぬ貴賎群衆の、花の御江戸の花ういろう。
アレあの花を見て、御心を御和らぎやと言う、
産子・這子に至るまで、此の外郎の御評判、御存じ無いとは申されまいまいつぶり、
角出せ棒出せぼうぼう眉に、臼杵擂鉢ばちばちぐわらぐわらぐわらと、
羽目を外して今日御出での何れ様にも、上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っ張り、
東方世界の薬の元締、薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って外郎はいらっしゃいませぬか。

これを、私はラジオ出演が決まったときから、毎日だいたい5~7分の中で大きな声で読むことを日課にしています。

最初は欲張らずにスローで。いきなり早く読もうとしても後半の早口言葉のところで絶対にすべるから。

これを繰り返しているうちに、うーん、効果はいまのところあるのかな?

とりあえず、寺島さんの番組に出たときから、「君の声はマイクの乗りがいいよ」とは言われているのですが、声質はともかく、きちんと正確に聴きとれる喋り方をしているのか、プレイバックを聴きながら少しずつ発声、喋り方を研究しているところであります。

皆さまに少しでも分かりやすくジャズの魅力を伝えられるように、絶えず精進、精進、精進中なのであります。

記:2008/11/06

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