カメラばかりに夢中にならずに、少しはナマで我が子の姿を見なさい

      2015/05/27

satsuei

先日、息子の音楽教室の発表会がありました。

わりと大きなホールだったので、我々家族は、ステージ全体を見渡せる後ろのほうの座席をとって子供たちの演奏を鑑賞していました。

ところが、気になることがあるんだよね。

ケータイのモニター画面。

デジカメのモニター画面。

ビデオカメラモニターの画面。

暗い会場が、四角く光る画面だらけなのです。

せっかく周囲を暗くして、舞台の上を明るくすることで観衆を舞台の上に視線をフォーカスさせようってのに、舞台の上だけではなく、前方に無数の小さな四角い発行体(液晶モニター)があると、視線が舞台に集中できません。

どうにかならないものか。

一応、司会者からは、演奏の妨げになるうえに、撮影業者さんの邪魔になるので、「撮影はフラッシュを焚かないように」、との注意があったのですが、親たちにとっては、「じゃあ、フラッシュ焚かなきゃいいワケね」という解釈になっちゃったみたい。

運動会も、演奏会もそうですが、小さなモニターの中の映像ばっかり見ていると、会場全体の空気とか、全体の中での自分の子供の役どころってよく分からないんだよね。

せっかく会場でナマで子供たちのパフォーマンスに接しようとしているのに、子どもの表現の場全体を鑑賞しようとせず、面を見ずに点(=自分の子供)ばかりを見ようとしている発想がよーわからん。

いや、観ようとすらしていない。

機械のメモリーに記憶させることにご執心で、ちっとも、自分の脳内のハードディスクにメモリーしようとしていない。

というより、そもそもそういう発想がないのかな。

良いアングルでの綺麗な撮影は専門の業者がキチンとやってくれているんだからさ、それをあとで買えばいいわけで、親の本来の役割は、自分の子供と自分の子供が活躍している場を目で直接見てあげることなんじゃないだろうか?

機械のハードディスクにメモリーさせることも大事かもしれないけど、もっと大事なのは心のハードディスクにメモリーしてあげることなんじゃないのかな?

人間の脳の機能はすごいんだから。

何かキッカケがあれば、ずるずるとその日の空気やら会場の雰囲気、そして子供のパフォーマンスっぷりもキチンと思いだせるものなのです。

たとえば、私は、この空の写真1枚を見れば、今日の発表会出来事をまるまる思い出せると思うよ。

sora

午前中、会場に出かける際、強風が吹いてきて、うぉぉ、寒いぜ、風がすごいぜ、でも空が綺麗だぜ、と思って、パチリと撮影した空の写真。

他の人が見ても、単なる白っぽい空にしか見えないかもしれないけれども、私にとっては、記憶を解凍する鍵のようなもの。

これさえ見れば、今日の風がすごかったこと、寒かったこと、強風のため電車が徐行運転だったことなどを思いだし、あとはそれがキッカケで息子の会場での出来事なんかも、自動的に芋づる式に連鎖的に思い出せるわけです。

つまり、この空の写真は、私の記憶のQRコードであり、バーコードなのです。

だから、我々家族は、会場では"鑑賞すること"に専念できるわけです。

「記録」に専念するエネルギーをすべて「鑑賞」に回せるわけなので、その日の出来事も心のハードディスクに深く収められるし、その記憶を解凍するための写真もあるわけだから、心の思いでもキチンと封印される。

機械の操作にわずらわされることなく、きちんと座席について、ゆったりと鑑賞しているので、カメラ親、ケータイ撮影親、ビデオ撮影オヤジのようなミットモない醜態をさらさずに済んだ(笑)。

これを読んでいる皆さん、もし、将来子供が生まれて幼稚園・小学校の運動会や、お稽古ごとの発表会に出かける際は、気をつけましょうね。

あなたの姿、見ている人は見ていますよ。

そーいう人たちには、「孫のピアノを弾く姿を楽しみにしていたお婆ちゃんが入院しちゃって今日これなくて……」とか言い分は色々あるかもしれないけれども、ダメ。却下。

(我々が出席した今回の発表会は)きちんと専門の撮影業者が画像、映像ともに入っているわけだから、それを後で購入して見せればいいではないですか。

自分の子供の姿だか映ってはいないだろうけれども、そういうのは、映像と数枚の写真で想像力働かせさせるの。そのほうがボケ防止につながるかもしれない(笑)。

さらに、参加できなかったお年寄りにとって大事なのは、映像や画像の中の息子ではなく、今、目の前にいる孫の元気な姿でしょう? データやソフトを送って満足!というよりも、孫とのコミュニケーションの場を多く設けてあげればいいじゃない、そんなにお年寄りと孫の関係が心配なら。

と私は思うんですがねぇ。

どんな事情があれ、親の無我夢中でわが子を撮影する姿は、気持ちは分かるんだけれども、やっぱり、やっぱり、ハッキリ言わせてもらうと、かなりミットモナイ。

品性出る。お里がしれる。バカ丸出し。迷惑。邪魔。
だから、退場!(笑)

そういう親にならないよう、気をつけましょうね。

記:2008/02/24

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