カフェモンマルトル

text:高野雲

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相変わらず、六本木の某お店には騙されっぱなし(笑)

      2016/03/01

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officegai

先日、息子を連れて六本木のある店に行ってきました。

開店当時から付き合いのある店で、飲んで、歌えて、演奏できる店なんですね。

私のほかにも、この店が開店したときからの常連客がたくさんいたのですが(おもに50過ぎの人)、リニューアルや、スタッフのチェンジ、料金的な問題など、いろいろあって、ここのところ常連客ばなれが進んでいたようです。

私もその1人なのですが……。

しかし、ここ最近、昔の常連客が戻ってくるイベントが毎週催されるようになりました。

銀座で店を持っている若いママが店にやってくる。

それに伴って、若い歌手志望の女の子も3~4人店にやってくる。

しかも、そのママは歌もピアノもプロ並みの腕で、お客さんが望む歌だったらなんでもピアノで伴奏できちゃうのだそうです。

だから、歌を歌いたいお客、お姉ちゃん目当てのオッサンが、火曜日になると店にやってくるわけです(笑)。

料金体系も、さすがにシッカリとしていて、その日だけは、チャージが高く、おまけに2時間を越えると、しっかりと延長料を徴収する仕組み。

ママの伴奏に合わせて歌い、酔い気分になったり、隣の席に座った若い女の子から酌をされて酔い気分になれば、2時間なんてあっという間。

多くのお客さんは、知らず知らず延長料金を払ってしまう、というわけです。

しかし、お客はそれで満足して帰ってゆくわけだから、この店の火曜日のシステムは、店にとっても、客にとっても悪いシステムではないと思います。

そういうシステムになったのはつい最近のことらしく、先日、店に足を運んだ私は、マスターから是非火曜日にも店に来てくれとお願いされました。

マスター曰く、

1、美人な銀座のママが来るよ。

2、彼女はピアノも歌もプロなみに上手いよ。

3、雲さんがお望みの椎名林檎からジャズまで、何でも弾けるよ。

4、ほかにもよりすぐりの女の子が数人来るから退屈しないよ。

5、他の日よりは料金が高くなるけれども、銀座の相場よりはずっと安いよ。

6、昔、常連だったヤマビコさん(仮)や、ドロタボウさん(仮)たちも毎週来るようになったよ

だそうです。

近所にもっと安くて、もっと遊べる店を発見した私としては、あまり乗り気ではなかったので、マスターからの誘いは無視し続けていました。

べつに、美人だとか、女の子がいっぱい来るとか、そういったことには私には興味ないのです。

そういうのに興味があれば、最初からキャバクラ行くので(笑)。

私が、その店に望むことは、気持ちよく演奏できるか、出来ないかだけなんです。

マスターの誘いを無視し続けていたら、今度は執拗なメール攻撃。

来週は是非来てください。

本日は来れますか?

きっとご満足いただけると思います(←なんの誘い文句だ・笑)

などと、来る日も来る日もメール、メール、メール。

ま、「何でも弾けるピアノの上手な女性」とベースでセッションするのも悪くないな、と思いはじめたタイミングで、息子も「久々に六本木に行きたいな」と言い始めたので、「よし、いくか!」とベースを担いで、息子を連れて、夜の六本木に繰り出したわけです。

たしかに、ママはピアノと歌が上手でした。

美人というふれこみでしたが、正直、私の好みではありませんでしたが(笑)。

ま、人の好みはそれぞれですからね。

しかし、この女性には、客を虜にする魅力(魔力)があるなぁと、私は直感的に感じました。

言い方悪いけれども、すごく淫靡な目尻、そっけないほどクールな立ち振る舞いと、ステージのMCで時折見せる甘えた声。

きっと、彼女に夢中になって蟻地獄に落ちた男性客は少なくないでしょう。

ピアノは上手だし、レパートリーは確かに広い。

しかし、マスターがいうほど、「いえば何でもやってくれますよ」ってほどでもない。

「私、基本的に弾き語りだから、弾いて歌える曲しか出来ないんだよねぇ」

要するに、ベースでセッションしようとすると、私が彼女の持ち歌に合わせなければならないわけです。

ま、普通はそういうもんなんですけどね。

しかし、彼女は気を利かせてくれて、自分のレパートリーの中からジャズ寄りの曲ばかりをセレクトして、譜面をコピーしてくれました。

で、ぼちぼちと客がやってくる。
あらら、最近ご無沙汰のヤマビコさん(仮)、ドロタボウさん(仮)じゃない!
「久しぶりですねぇ」と挨拶すると、目じりを下げて、「えへへへへ」。

ママ、あるいは女の子目当てで店に来たことは一目瞭然です。

いつのまにやら、ステージが始まり、私はベースで彼女の唄とピアノの伴奏。

数曲合わせておしまいのつもりだったのが、これって、店のショータイムだったのね。

予想に反して、客のリクエストや、客が歌いたい曲の伴奏をしたりと、たっぷり1時間近くのステージになったのではないでしょうか。

しかも、「原曲より1度半下げて」とか「3度上げて」とか、お客さんのキーに合わせて瞬間的に移調しながら、伴奏をしなければならない。

ママが客席に呼びかけます。

「タンコロリンさん(仮)いらっしゃーい! さ、ステージに上がって、上がって、一緒に歌おうよぉ、今日はベースの人も来てるんだからぁ!」

そう言って、常連客を誘います。

お客さんは皆、ママの伴奏にあわせて歌を歌いたいのです。

そのために店に来ているんだから。

でも、一回誘われたぐらいで、ほいほいとはステージには上がりません。

一応、「いや、今日はちょっと…」ともったいぶるのです。

「ねぇん、歌ってよーん。一緒にイコうよ~ん、一緒にイカなきゃいや~ん」とママは甘えた声で客に拗ねます。

もったいぶっていたたお客さんは、「そんなにママが誘うのなら仕方が無いな」というポーズで、やっとこさステージに上がるわけです。

それから曲を決め、譜面を探し、キーを打ち合わせと、一曲歌うまでの時間が非常に長い。

その間、店のショーのメンバーにいつのまにか組み込まれてしまっている私はステージを降りることが出来ない。

当然、時間はそんなことにはお構いなしに過ぎてゆきます。

で、ステージの第一幕が終わり、そろそろ店を出ようと思い、精算。

明細をもってきたマスターは、ニコやかに、「はい、2時間過ぎたので、延長料金も含まれております」

……はぁ??

しかもご丁寧に、息子の延長料金もきちんと内訳には記載されているという(笑)。

でも、これってどうなんでしょうねぇ?

私はこの店にいる2時間の大半は、ステージの演奏に費やされていてわけです。

それも自分の楽しみではなく、お客さんの楽しみを満たすための。

そのうえ、ショーの雰囲気上、ステージからは降りれなかった。

もちろん、私も演奏を楽しむことが出来たので、チャージやドリンク料を払うのは吝かではありません。

しかし、私も演奏を楽しみましたが、半分以上は、ベースで演歌や懐メロなど興味の無い曲ばかりを演奏して(しかもお客さんのキーに合わせて)、店の客にサービスしたわけですよ。

ピアノで伴奏していたママも料金を払ってお客にサービスをしているというのであれば話は別ですが、彼女はきっと店からギャラが出るわけでしょう?

で、私の場合は、店のサービスに貢献した上に、延長料金まで取られるってわけ?

なんだか割があわないよなぁ。

もちろん、私もいきなり演奏に参加して楽しませてもらったという側面もあるので、チャージ料金まで渋るつもりは毛頭ないのですが、「少し違うだろ!」と思ったことも確かです。

他の店なら、「ご苦労様」と一杯ぐらいは店からの奢りがつくものですが、ま、この日のシステムは“2時間飲み放題”だから、それは無いですね。

ま、延長料金といったって、そんなに高いものではないので、そこでケチケチ文句を言って店の雰囲気を壊すのも野暮なので、キチンとお支払いはいたしましたが、マスターはつくづく損をしているなぁ、と思いました。

なぜなら、私はもう二度と火曜日のイベントには行かないからです。

目先のほんの数千円に目が行ったがために、今後の潜在的リピーターを1人失ったわけですからね。

小銭に目が眩んで、目の前のネギを背負ったカモを逃してしまったんだから、ああ、モッタイナイ。

もし、「今日は演奏ご苦労さまでした。チャージはいただきますが、延長料金はサービスしますよ」と気を利かせれば、気を良くした私は火曜日に店に通ったのかもしれないのにね。

延長料金をしっかり徴収するよりも、翌週も翌々週も店に足を運んでもらったほうが儲けは太くなるのにねぇ。

昔から、この店のマスターにはそういうところがあります。

ま、それはそれで憎めないから、今回も「しょーがねーなー、相変わらず」とも思うわけですけどね。

記:2006/02/23

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