ロッケンロール・バンドのライブをやることになりました

      2015/05/23

菊地成孔の新刊に『ロックとフォークのない20世紀』という本がありますが、なかなかウマいタイトルだと思います。

200CD 菊地成孔セレクション―ロックとフォークのない20世紀 (学研200音楽書シリーズ)200CD 菊地成孔セレクション―ロックとフォークのない20世紀 (学研200音楽書シリーズ)

というのも、私の音楽歴の中にも、ロックとフォークはスッポリと抜け落ちているのです。

というか、意識的に聴いていなかった。

一言で言うと、興味が無かったし、つまらないと感じていたから。

10代の頃は、ロックがどうたらとか、ビートルズがどうたらと語っている連中は全員バカだと思っていた。すごく生意気でヤなヤツだったんです。

そういう連中とは少なくとも友達にはなりたくなかったし、それ以前の問題として話があわなかった。

なーにが「ポールがさぁ、ジョンがさぁ」だよ、と思っていた(笑)。

じゃあ、ロックやフォークを聴かないでジャズ聴いていたのかというと、そうじゃなくて、ジャズは20歳を過ぎてから。

テクノも中学で卒業しちゃったし(YMOが散解しちゃったからね)、じゃあオマエは何が好きで、何を聴いていたのかというと、振り返ってみると、自分の音楽ばかり聴いていた(笑)。

自分で作った曲、自分で演奏して録音した曲、アナログシンセのツマミをいじって多重録音したオリジナルを繰り返し聞きながら、「嗚呼、いいなぁ」なんて思ってた(笑)。

阿呆やなぁ、今考えると。

多感な時期に、色々な音を吸収していれば、もっと違っていたかもしれないのにね。

もちろん、仲の良い友達の勧める音源や、付き合っていた女の子から借りたレコードなんかには耳を通していたし、キーボードマガジンや、今は無きキープルというキーボード雑誌に掲載されていたオススメアルバムなんかには耳を通していたけれども。

それでも、一番の興味は自分が出した音と、これから自分が出すであろう音でしたね(笑)。

でも、おかげで、自分の音と向かい合うことによって、表現する難しさ悦び、楽器をやる人の気持ちや、音の底まで見つめる視線(耳線?)のようなものは養われたと思います。

でも、相変わらず、ロックに対する偏見はあって、なるべく意識的に自分の生活圏から排除してはいましたね。

ようやく聴くようになったのは、結婚してからぐらいだと思います。

べつに女房の影響とかそういうのではなくて、結婚した後ぐらいのタイミングで、経済的にも少し潤ってきたということが大きいです。

このちょっとした無駄遣いを出来るぐらいの収入アップが、興味のない音楽の分野にまで触手を伸ばすことに繋がったのかもしれません。

あれほど大きらいだったビートルズも(正確にはビートルズ好きの人間が嫌いだった)、ひととおり全部買って聴き、ストーンズ、ツェッペリン、ディープ・パープルなど、ロック好きが「いいよ~!」というような類のバンドは一通り駆け足で聴くようになりました。

でも、リアルタイムで私はこれらの音楽を聴いていないうえに、そもそも聴くときの気持ちが、「教養として古典文学でも読んでおかないと」という、なかば義務感のような姿勢だったので、それほど「いいなぁ!」とまではならなかった。

もちろん、いい曲や好きな曲も発見出来たけど、ジャズのアドリブの肉体と知性のせめぎ合いから生まれるインプロヴィゼーションのヤバカッコ良さや、戦前ブルースのような謎めいた奥深さと原酒のような強烈な味わいはついぞ体験できずじまいでした。

でも、マクドナルドや吉野家の食べ物って、毎日は食べられないけれども、たまに食べれば、けっこうオイシイじゃないかと思えるぐらいの感覚で、ロックも好きになってゆきました。

キッカケは家を買ったことが大きいと思います。

つまり、結婚してから2年半ぐらいまでは千葉の遠くに住んでいたので、それほど帰りに寄り道して遊んでいなかったのですが、家を買って引っ越してからは、六本木や渋谷や新宿が近くなったので、寄り道して遊ぶことが多くなったのですね。

そうすると、やっぱり音楽が出来る店に行くことになる。

そうすると、その店ではベースでのヘルプ演奏を頼まれたりする。

で、六本木の楽器が弾ける店に入り浸る人たちって、だいたい50前後のおじさんたちが多いわけで、彼らの好みって、GSにベンチャーズにビートルズにストーンズにクラプトンなんですよね。だから、彼らの好みの音楽に見よう見まねであわせているうちに、少しずつロックを演奏する楽しみにも目覚めてきたのですね。

聴いてもあまりピンとこなかった音楽も、演奏を通して初めて楽しさや良さのようなものが少しずつわかってきたのです。

「なんだ、聴くより演るほうが数倍楽しいじゃん。ロックって“演る音楽”なんだな」と遅ればせながら目覚めてきたわけです。

最近は、近所のバーでほぼ毎日ロックを演奏しています。ジャズよりもロックが出来る人の人口が多いからね。

それどころか、ロッケンロールバンドのライブのヘルプまで頼まれてしまいました。

キャロル大好きな元・会社の先輩です。
とにかく「昭和」の香りが漂う、ロケンロールが大好きなお方です。
その方に誘われ、というかベースを弾いてくれと頼まれました。

なんだか4月の8日あたりに秋葉原の音楽祭に出るんだそうです。

キャロルに、ストーンズに、横浜銀蝿に、チャック・ベリーのコピーバンドだってさぁ。
チャック・ベリーにストーンズはまだいいにしても、銀蝿ですか(笑)。

ま、いいか。
ギャグだと思って出てみよう。

なんだか、場末感ただよう、飲み屋のカウンターで、トントン拍子に話が決まってしまいました。

moetsuki

ま、やるからにはキチンとお手伝いはしますし、シンプルな音楽を真剣に見つめることによって見えてくることもあるかもしれない。ないかもしれないけど(笑)。

しかし、60年プレシジョンの重低音を大音量でズドン!と鳴らすチャンスでもあるので、頑張ってみようと思います。

ヒマな人は見に来てください。

4月8日の秋葉原の場所は…、えーと、どこだっけ? 詳しいこと聞いてなかった。

決まったらお知らせします。

記:2006/03/05

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