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ジャズと映画とプラモの日々:高野雲

バイオリンを調弦する女

      2015/05/21

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ちょっと前の話なんですけど、昼下がりに「銀ブラ」をしておりまして、ふと、たまぁに覗く画廊に足を踏み入れたんですよ。

私の傾向として、まず画廊に足を踏み入れると、さーっと会場全体の絵を俯瞰します。

最近の画廊は壁際だけに絵を展示していることが多いので、入り口のところで、ある程度展示してある絵を見渡せるんですね。

で、この段階でパッと一番最初に目についた絵が、自分のお気に入りになることが非常に多い。

もちろん、その後、一枚一枚をじっくりと見るのですが、すべての絵を鑑賞しおわった後、再び足を運ぶところは、やっぱり最初にパッと目についた絵の前なのですね。

先日立ち寄った画廊は、『一枚の繪』。

銀座風月堂のビルの中にあります。

ちょうど乃村豊和展が催されてました。

私が最初に目についた絵は、『バイオリンを調弦する女』。

キャンバスではなく、厚紙の上に油絵の具で描かれた作品です。

肩から腕にかけての曲線がやわらかく、とても自然。

それに伴った衣服のシワや、微妙なはだけ具合もリアルです。

耳を澄まして、ちょっと神経質な顔で真剣に弦の音に聞き入っている表情がいい。

微妙にひねった腰のラインは、いまの自分の格好よりも、とにかく弦の音を聴くことが第一なのだという真剣な雰囲気が漂っている。

この女性は緑色の服を着ていますが、背後にいる数名のバイオリニストは、白い服を着ているので、彼女はオーケストラのコンマスか、もしくはソロバイオリン奏者なのでしょう。

全体的に淡い色調の絵が多い中、この絵は比較的暖色系の暖かい色が積み重ねられており、ちょっと濃い目の配色です。だから、最初に目についたのかもしれない。

乃村豊和は、どちらかというと踊り子の作品が多い画家です。

踊り子といっても、伊豆じゃなくて、バレエの踊り子ね。

躍動感あふれる『飛翔する女』、張り詰めた空気がこちらまでに伝わってくるような『リハーサルを視つめる踊り子』、カーテンごしから窓の外を見つめる『窓辺のバレリーナ』など、非常に秀逸な踊り子の絵が多い彼の作品のなか、バイオリンやチェロなどの楽器を描いた作品は、珍しいのです。

でも、少ないながらも楽器を身体の一部として溶け込ませている『バイオリンの女』は、とても素敵な作品でした。

乃村豊和の絵に登場する女性の顔はすべて一緒です。

ちょっと、少女マンガチックな雰囲気が漂っていないでもない。

幼い女の子から、成熟した大人の女性まで年齢幅はあるのですが、基本的には同一人物、だと私はにらんでいます。

画廊の方の話によると、モデルの女性は何人かはいらっしゃるそうですが、きっと、身体のモデルだけなんじゃないかな。

だって、顔はみんな同じなんだもん(先述したとおり、年齢によって書き分けはあるけれども、年齢の違う同一人物だと思う)。

この顔は、彼の初恋の人の顔なのかな?

それとも思い出にいつまでも封印しておきたい女性の顔?

それとも、数限りない女性と接した上で、最終的に導き出された彼にとって最上級な女性の理想が集約された顔?

本人に確認するしか術はありませんが、いずれにしても彼の描く女性の顔は同一人物です。

色白で、

控えめで、

か細くて、

ちょっと神経質そうだけれども優しい心の持ち主で、

努力家で、愚痴はあまり言わず、

どちらかというと言葉を飲み込んでしまうタイプで、

いつも内面に悩みを抱えていそう。

しかし、性格は明るく、

誰からも好かれるんだけれども、あまり派手なことは好まず、いつも3人ぐらいの控えめな女の子同士のグループで仲良く遊んだりしていて……

なんて、絵の中の女性にたいして勝手に妄想を抱いているうちに、絵の中の女性の恋をしている自分に気がつきました(笑)。

私は、基本的には女性が好きですが、女性にも様々な種類があるので、ひとくちにすべての女性が好きというわけではありません。

それは、「私は犬が好き」と言っているのと同じことで、ひとくちに犬といっても、柴犬、ブルドッグ、シベリアンハスキー、チワワと、ルックスも大きさも千差万別な種類がありますよね。

「犬が好き」といったって、言っている人の心の中には、いくつかの好みのタイプの犬が思い浮かんでいるに違いないのです。

それと同様に、女性にも、デブ型や痩せ型、控えめタイプからズゥズゥしいタイプと様々なタイプがあります。

もちろん、そのすべてのタイプが好きなわけではありません。

私が好きなタイプ、いや、苦手なタイプを言ったほうが早いか。

私が苦手な女性のタイプは、ズバリ、デブとずぅずぅしい女。

最悪に苦手です。

いや、ほんと、体格の良い女性様には申し訳ないんですけど、ダメなんですよ。生理的に。

仕事上、どうしても会話をしなければいけない、ということも稀にありますが、そういうときは、相手が話している間は息を止めていたり、なるべく目線を合わせないとか、とにかく自分がパニックに陥らないようにするのが大変なんです。

もう少し悪口雑言を許してもらえるのであれば、うるせぇ女、つまり、よく喋るタイプも苦手です。

いや、喋ること自体はどうでもいいんだけれど、私が、私が、な話題ばかりを相手にするのが苦手。

会話が一方通行でキャッチボールが出来ない女性って、面白くないし、ゆえに魅力無いし。

一口に、同じ“女”というジャンルでは括っていいのか?というぐらい、あたりまえだけれどもさまざまなタイプの女性がこの世に存在します。

まるで、一口に魚といっても、イカも、ウニも、カニやエビも、タイもハマチも、“魚屋さんで売られている魚介類”というひとつのジャンルで括られるのと同じようなものです。

と、話が脱線してしまいましたが、とにかく、絵の中の女性は、私がもっとも苦手とする女性のタイプとは、まったく対極に位置する女性に違いない!という妄想が働き、すごく気に入っています。

しかし、あくまで絵の中の女性なので、本当はすごくイヤな性格の持ち主かもしれませんが、確認しようがありません。

だからいいのです。

将来は、デブったおばさんに変身するかもしれませんが、絵の中の女性はいつまでたっても少女は少女、20代は20代のままです。

そこがイイというか、ズルいうというか、永遠に妄想が固定されるわけですが、この絵の定価を見ると、21万円。

私が大きな買い物や大事な買い物をするときの金銭感覚は、所有しているベースが大きな基準となっているのですが、

そう考えると、安い!

か、買ってしまおうかな、……と、今日も悶々しておりました。

あ、乃村豊和展、もう終わっていたっけ?

購入の検討用に、写真も何枚かデジカメに収めましたが、あえてここには掲載しません。

だって、写真の絵と、実物の絵では、本当に同じ絵?というぐらいものすごくイメージが違うのです。

写真に映ったバイオリニストは、まるで神経質なメーテル。

自宅に帰って、PCで撮影した写真をプレイバックしたときには、そのあまりの差に驚愕してしまいました…。

やっぱり、絵は生で接してみないと分かりません。

記:2005/10/08(from「趣味?ジャズと子育てです」)

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