カフェモンマルトル

text:高野雲

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ワイン

      2016/04/03

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wine

私はワインが好きだが、コルク栓を抜くのが苦手だ。

いつも失敗する。

私はワインが好きだが、通がやるように、格好良くグラスをぐるぐると回すことが出来ない。

無理してやると、こぼしてしまう。

私はワインが好きだが、ワインの名前を覚えるのが苦手だ。

いつも忘れてしまう。

だから、赤か白か、ミディアムかフルか、予算はどれぐらいなのかを告げて、料理にあわせて店に選んでもらうことが多い。

そのほうが、店としてもセレクトしがいがあるし、失敗もない。

馴染みの店だと気を利かせて、予算以上のものをサービスしてくれることもある。

私はワインが好きだが、チリ産のワインがどうも苦手だ。

いろいろと試してみたが、どうも酔いが回るのが早いような気がするので、チリ産のものはなるべく避けるようになってしまった。

私はワインは好きだが、私は川島なお美ではないので、体の中を流れている血はワインではない。

私はワインが好きだが、ライトボディのものはあまり好きではない。

飲んだときのガシッ!とした手応えが無いと、どうも飲んでいる気になれない。

同じ理由でカクテル類もあまり飲まない。手ごたえがないのに、知らぬ間にベロンベロンになってしまうのがズルい。

飲んだ時の、それ相応の手応えと、酔い具合が一致しないと、どうにも気持ちが悪いのだ。

私はワインが好きだが、グラッパにも目がない。

食後にシメとしてグイッと飲まないと、食事が終わった気がしない。

就寝前の歯磨きのようなものかもしれない。

私はワインが好きなので、ソムリエのウンチクに耳を傾けるのが結構好きだ。

ふんふん、なるほど、と感心しながら聞くが、店を出る頃にはいつも忘れている。

私はワインが好きなので、ボトルの2本ぐらいだったら時間はかかるが、一晩で空けられる。

もっとも、それはモノにもよる。

あまりに質が悪いと、少量でも悪酔いしてしまう。

以前、居酒屋で数百円のデカンタがあったので、頼んでみたが、数杯で気持ちが悪くなってしまった。

以後、居酒屋ではワインは頼まないことにしている。

だからといって、高級志向だというわけでも、気取っているというわけでもなく、居酒屋は居酒屋で、ビールでも楽しく過ごせるわけだから、無理して自分の体質に合わないことをしなくなったというだけのことだ。

滅茶苦茶高いワインは、かえって気後れして、畏まってしまう。

私はワインが好きだが、一人では決して飲まない。

飲み相手がいてこそのワインだと思っている。

ワインと楽しい会話は一つのセットのようなもの。フランス人にとっては、ワインとチーズが一つのセットとなっているようなものだ。

会話なくして、おいしいワインは味わえない。この二つが一つになって、初めておいしく味わえるし、充実した時間が過ごせるのだ。

だから、飲みの相手の選択は結構重要だ。

バカ相手はウンザリだし、なにより、ワインがまずくなる。

話題やボキャブラリーに乏しい相手も、刺激が無くてつまらない。

黙り過ぎも興醒めだが、聞く耳持たずの自己主張さんも地獄に堕ちて欲しいと思う。

テンポとリズム感、そしてアドリブの利く人が理想だ。

良いワインと、良い相手。そして、相手は、一人とは限らない。二人でも三人でも良い。

ただし、大人数過ぎるのはあまり好ましくない。

一つの話題に対して、全員が参加出来るぐらいの人数が丁度良いと思う。

そして、実りのある話題(≠建設的な話題)と時間を過ごせたときの幸福は何にも代え難い。

記:2002/05/10

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