ザ・ゲイト・イズ・オープン/ゲイリー・トーマス

   

豪華かつ名手が勢ぞろい!

ゲイリー・トーマス(ts,fl)、
ケビン・ユーバンクス(g)、
リニー・ロスネス(p)、
デイヴ・ホランド(b) アンソニー・コックス(b)、
デニス・チェンバース (ds)

と、

錚々たる面子によって吹き込まれた『ザ・ゲイト・イズ・オープン』。

現代的でスマートのリズム隊の誘導により、全体的につんのめるようなスピード感に支配された快作といえる。

主役のゲイリー・トーマスよりも、ギターのケビン・ユーバンクスのプレイに耳が吸いこまれる瞬間も多い。

ユーバンクスのささくれだったトンガリ具合は、ジョンスコのトンガリっぷりとはまた違う味わいと疾走感。

疾走感に拍車をかけ、さらにはリズムにドカン!と重たい鉈を振り下ろすかのようなデニス・チェンバースのドラミングは、発売時の90年代初頭にリアルタイムで聴いたときはかなり衝撃だったが、今聴いてもかなり刺激的だ。

予想以上に"男な”ピアノで、タフなサウンドメイキングに貢献するリニー・ロスネスのピアノも快演。

さらに含蓄あるベースで、若手が陥りがちな饒舌さと上滑りを防ぐホランドのベースもいぶし銀。

これだけすばらしいリズム陣がそろえば、上にのっかるサックス奏者は、誰でもよかった?(笑)

いやいや、もちろん、ゲイリーのパワフルなテナーがあってこそのサウンドなのでしょう。並のテナー奏者だったら、手練のリズム隊にねじ伏せられていたかもしれない。

ロリンズの名曲《ストロード・ロード》でタフな幕開け。

スタンダードの名曲《スター・アイズ》、《ユー・ステップト・アウト・オブ・ア・ドリーム》、《ザ・ソング・イズ・ユー》が続き、《インヴィテーション》は、太く美しいフルートで彩られる。

そして、このアルバムのヘソとでも言うべきスローモーで叙情的な《チェルシー・ブリッジ》。

ジミー・ヒースの名演で有名な《オン・ザ・トレイル》を経て、ラストはセロニアス・モンク作曲の《エピストロフィー》でタフに締めくくるという、なかなか飽きのこない起伏のある展開だ。

聴くたびに「え?もう終わったの?」なことの多いアルバムだ。

記:2009/01/10

album data

WHILE GATE IS OPEN (Bamboo)
- Gary Thomas

1.Strode Rode
2.Star Eyes
3.You Steeped Out Of A Dream
4.The Song Is You
5.Invitation
6.Chelsea Bridge
7.On The Trail
8.Epistrophy

Gary Thomas (ts&fl)
Kevin Eubanks (g) track 1,5,6,8
Renee Rosnes (p&syn) track 2,3,8
Dave Holland (b) track 1,2,3,6
Anthony Cox (b) track 4,5,7,8
Dennis Chambers (ds) All tracks,except 6

1990/05/08-09

YouTube

上記テキストとほぼ同内容のことを動画でもお話しています。

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