幽霊は見たことがないが、「見なかったこと」ならある。
学生時代の折、夕暮れどきの冬の雪山をバイト仲間8人が2台の車に分乗して移動中のときのこと。
私以外の7人が「夏の祭に着るときのような浴衣を着て提灯を持った幼い女の子」を目撃している。
2月の雪が降り積もった山の道路に、「夏の浴衣姿にマリ」っていうのもヘンだが、本当にその場に女の子がいて、私だけが見なかっただけなのかもしれないし、私を騙すために口裏を合わせたタチの悪い冗談なのかもしれない。
もっとも全員の「いたよね?!」「やっぱり見た?」と口々に言い合う青ざめた顔から察するに、冗談のようには思えなかったが……。
あるいは、私だけがハイウエイ・ヒプノシス(高速道路催眠現象)にかかっていなかった、ということも考えられなくもない。
だが、あれこれと理由を無理矢理ひねり出すよりも、「自分が”見なかった”のは幽霊だったのだ」と考えたほうが不思議と腑に落ちるし、スッキリと納得出来ることは確かだ。
ま、昔からその手の怪奇現象や心霊現象とはまったく無縁なんですが(とはいえ怖がりです)、追求すればするほど面白い世界ではあるんだけれどもね。
記:2000/07/27