さらりと自然にリトル幸せな空間を提供してくれるハンプトン・ホーズのピアノ

      2021/02/10

JAZZピアニストの名前を思いつくままに10人あげなさいと言われて、必ず漏れちゃう人の一人が、「馬さん」ことハンプトン・ホーズ。

ん?

ハンプトン・ホーズ?
ハンプトン・ホース?

ジャズ雑誌やジャズ書籍を色々とひも解くと、「ホーズ」表記だったり、「ホース」表記だったりするんだけれども、個人的には「ホース」だと、庭にあるホースみたいなので「ホーズ」と呼んでいるけれど、まあいいや。

その、ハンプトン・ホーズなんですが、巧いし、素晴らしいピアニストなんだけれども、なぜか忘れがちなんだよねぇ、私の中では。

どうしても、セシル・テイラーとかバド・パウエルといった、インパクトのある「巨匠タイプ」の人が先に思いついてしまい、ついでドド・マーマロサやレッド・ガーランドといった普段より愛聴している個人的思い入れの深い人の名前が浮かんできてしまう。

で、10人挙げた後で、「あ、しまった、馬さんを入れるの忘れた!」となってしまう。
(「馬」さんということは、やっぱり「ホース」なのか?!)

よくも、悪くも、私にとってのハンプトン・ホーズって、私の中ではそういう存在なのよ。

同様な理由で、フィニアス・ニューボーンJr.なんかもそうかもしれない。

しかし、即座に名前が出てこない存在かもしれないけれども、だからといって、素晴らしくないピアニストなのかというと、そんなことは全然ありません。

私は、『ザ・トリオvol.1』を愛聴しているが、『vol.2』も最近頻繁に聴くようになってきた。

コレvol.1ネ。

ザ・トリオ Vol.1The Trio Vol.1

vol.1を演奏の溌剌さで聴くとすれば、vol.2は、選曲の良さと、アプローチの素晴らしさを味わうべきアルバムかな、と思っている。

Trio 2The Trio 2

《あなたと夜と音楽》と《ステラ・バイ・スターライト》、《イエスタデイズ》、《スティープルチェイス》、《ラウンド・ミッドナイト》、《ジャスト・スクィーズ・ミー》、《ニューヨークの秋》……。

あらぁ、名曲揃いではありませんか。
しかも、親しみやすい演奏ばかり。

アプローチの素晴らしさと先ほど書いたが、決して奇をてらったアプローチではなく、むしろ、自然体で、肩を抜いた気分で、サラリと「聴ける」内容をやってのけてしまった演奏が持つ心地よい空気感なのだと思う。

おいしく炊けたご飯と一緒に野沢菜を食べるときのように、当たり前だけれども、「リトル幸せ」な空間を提供してくれるのが、この『vol.2』の良いところでありましょう。

ちなみに、野沢菜というのは、たまたま引き合いに出しただけで、漬物だったら、横浜の金港漬けでも、岩手の弁慶のホロホロ漬けでも、京都のカブの千枚漬けでも、構わないです、ハイ。

そいういえば、鉄砲漬けも食べたくなってきた。関係ないけど。

記:2001/05/12

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