インターモジュレーション/ビル・エヴァンス&ジム・ホール

      2021/01/30

アンダーカレント第二段

1曲目の《アイヴ・ゴット・ユー・アンダー・マイ・スキン》からあなたは、このアルバムの虜になることだろう。

アルバムの中では比較的躍動的なナンバーを冒頭に持ってくることで、リスナーへの掴みは十分。新たなる「アンダーカレント・パート2」の幕が開ける。

ジム・ホールのソロのあとに、溌剌と登場するエヴァンスのアドリヴが始まった瞬間、ポール・モチアンばりのシンバルが「シャラララ~」と聴こえるのは私だけか?

また、同時にウッドベースの低音がドク・ドックンと入ってくれれば、どんなにいいだろうと思うのも私だけか?

もちろん、ジム・ホールのギターと、エヴァンスのピアノ2台だけでも申しぶんのない演奏なことには違いないが、この曲に限っては、エヴァンスのソロのあたりから、頭の中で、勝手にベースとシンバルの音を味付けして聴いている私。

固さの取れた『アンダー・カレント』というべきか。前作に比べると、ピン!と張りつめた雰囲気はいくぶんか緩和されている。

名盤『アンダーカレント』の続編に位置づけられるアルバムだが、耽美的かつスタティックな『アンダーカレント』とは一線を画する雰囲気、内容。

ピン!と張り詰めた『アンダー・カレント』よりも、良い意味で「緩い」内容の本作は、温かみとおおらかさが増している。

しかし、リラックスしたウォームな雰囲気ながらも、よく聴くと、緊密かつ繊細なビル・エヴァンスとジム・ホールのインタープレイは相変わらずで、決して彼らは前作よりも手を抜いているわけではない。

『アンダーカレント』よりも控えめになったジム・ホールのプレイも、よく聴くと、かなり細かな気遣いで成り立っていることがわかるだろう。

じつに深く奥行きのある演奏だ。

知的かつ、安っぽくないお洒落な雰囲気を手軽に演出できるBGMとして。

また、1人でじっくり鑑賞しても、それ相応のクオリティを味わえる、全天候型万能アルバムだといえる。

記:2007/05/07

album data

INTERMODULATION (Verve)
- Bill Evans & Jim Hall

1.I've Got You Under My Skin
2.My Man's Gone Now (from "Porgy And Bess")
3.Turn Out The Stars
4.Angel Face
5.Jazz Samba
6.All Across The City

Bill Evans (p)
Jim Hall (g)

1966/04/07 & 05/10

 - ジャズ