ジャズ・アブストラクションズ/ジョン・ルイス

   

かなり怪しい

ビル・エヴァンスにスコット・ラファロ、そしてジム・ホール。

さらに、エリック・ドルフィーにオーネット・コールマン、そしてエディ・コスタ。

当時のジャズの俊英というか、一歩進んだ精鋭たちが集まると、こうなりましたというようなアルバム。

特にタイトルナンバーは、なにやら現代音楽のよう。

アタマのいい人たち、感性が時代の先を行き過ぎてしまっている人たちが集まると、こうも小難しい音になっちゃうんでしょうか?と思ってしまうほど、少なくとも親しみやすく、とっつきやすい内容とは言いがたい。

むしろ、怪しい。

いや、かなり怪しいかも。

ジョン・ルイス、昼の顔・夜の顔

後期コルトレーンの音楽も怪しいと感じる人もいるかもしれないが、比較的コルトレーンの場合は音として体現したい方向性は明白かつシンプルなので、それほど怪しさは感じない。

それに反して、このガンサー・シュラー率いる俊英たちが出す音は、音楽の方向性がつかみづらい上に、演奏レベルもかなりのものなので、逆に怪しく、なにやら怖さすらも漂っている。

ジョン・ルイスの名前がクレジットされているところも怪しい(笑)。

かたや、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)でクラシカルなムードをたたえた端正な演奏をしつつも、その一方では、地下の実験室で行われていたような音楽にも参加していたということが、なにやらこの人はドラキュラ伯爵のように、昼の顔と夜の顔を持っていた人なんじゃないかと思えてしまうところが怪しく怖い。

しかも、クレジットを見ても、ジョン・ルイスは、どうやらピアノとして参加していないようなんだよね。
単に触媒として、その場にいただけだとか?
そうすると、さらにますます怪しい(笑)。

ビル・エヴァンスやジム・ホールなど、名だたるジャズジャイアンツは、じつは影ではこんなこともやっていました的なメモリアルとしては基調な音源かもしれない。

そうしょっちゅう取り出して聴くような内容ではないけれども。

記:2018/08/23

album data

JAZZ ABSTRUCTIONS (Atlantic)
- John Lewis

1.Abstraction
2.Piece for Guitar & Strings
3.Django - Variant I
4.Django - Variant Ii
5.Django - Variant Iii
6.Criss-Cross - Variant I
7.Criss-Cross - Variant Ii
8.Criss-Cross - Variant Iii
9.Criss-Cross - Variant Iv

Gunther Schuller (arr,cond)
Jim Hall (g)
Ornette Coleman (as) #1,4
Eric Dolphy (as,bcl,fl) #3,4
Robert DiDomenica (fl) #3,4
Bill Evans (p) #3,4
Eddie Costa (vib) #3,4
Charles Libove, Roland Vamos (vln)
Alfred Brown,Harry Zaratzian (viola) #2
Joseph Tekula (cello)
Alvin Brehm (b) #1
George Duvivier (b) #3&4
Scott LaFaro (b)
Sticks Evans (ds) #1,3,4

1960/12/19&20

 - ジャズ