サウス・サイド・ソウル/ジョン・ライト

   

ジョン・ライトに手が伸びた

先日は神戸に行って、その後名古屋に行って味噌煮込みうどんを食べて、
名古屋から名鉄犬山線に乗って江南市の布袋に行き、さらに名古屋に戻ってビールを飲み、東京に戻って、丸ビルを徘徊して、シゴトに戻って、ガバーっ!と半日でいつもは処理している量を3時間ぐらいで捌き、家に帰って、カレー南蛮を作り、カレー南蛮を食べながらビールを飲んだ。

さぁ、疲れたぞ、でも充実した一日だったぞ。
明日に響くからもう寝よう。

あ、そういえば、その日はまったくジャズを聴いていない。
今のオレにはジャズが足りねぇ、さぁ何を聴こう?

カウンターの上に乗っかっているバーボンの瓶が数本、
1本分は片付けてしまおう。

とりあえず、名盤は聴きたくない気分。
それにホーン入りも気分じゃない。

でも、癒し系なピアノトリオは絶対にゴメンだし、普通に味わい深いピアノをさらりと聴きたいと思った結果、半ば無意識にジョン・ライトに手が伸びた。

味わい深いピアノ

何の変哲もない、まぁ、いわばフッツーのピアノトリオ以上でも以下でもないのだが、コクがある。

クドくはないが、適度なコク。
これぐらいのコクがその時の私にはちょうど良かった。

そして、聴いていると元気が漲ってきたので、寝るのをやめて起きていた。

(私にとっては)こんな無名なピアニストで、なんの変哲もない演奏でも、手を抜かずに、キッチリと丁寧なシゴトをしていることにワケもなく感動。

だから、目が覚めた。

疲れたから寝るのって、なんだか普通の人のような気がして、そして、今、ピアノを弾いているジョン・ライトにも悪いと思った。
なんだかよく分からないのだけど。

睡眠不足は健康の大敵です。
はい、わかってはいるんですけどね。

でも、眠気とか健康とかは、ジョン・ライトのピアノの前にはそれほど関係のないことなのです。
ま、最初から関係ないか。

その時の疲れた頭で、そんなことを考えながら、ジョン・ライトが奏でる味わい深いピアノに無心となって耳を傾けている自分がいた。

バーボンが似合うピアノ

そして、気付けばだいぶバーボンが進んでいる。
そう、ソウルフィーリングに溢れるピアニスト、ジョン・ライトのピアノには、バーボンが似合う。

音に聞き入ることもなく、かといって、BGMのように耳の右から左へ通り過ぎるでもなく、ほどよい距離感で、リラックスしながら聴くのがもっとも快適かつ正しい聴きかただと思う。

彼のように根っこからソウルフィーリングがたっぷりの人は、特に、過度な表現をせずとも、ピアノの音の隙間から、たっぷりとブラックなフィーリングがにじみ出てくるもの。

コテっとしすぎず、かといって、あっさりともしていない、ちょうど良い油加減。

この塩梅が出せるピアニストってそうはいない。
ジュニア・マンスもその類のピアニストかもしれないが、ジョン・ライトの場合はもう少し気さくな感じかな。

リズムセクションも、ウェンデル・マーシャル(b)、ウォルターマン・キャッツ(ds)と、さほどビッグネームな人たちではないが、必ずしも、大物が良いというわけでもない。

ジョン・ライトのフィーリングを汲み取り、ピアノと一体化できるリズムセクションのほうが良いわけで、そういった意味では、この2人のサポートは及第点。

安心して聴ける安定したリズムセクションだ。

このジョン・ライトのプレスティッジでの初リーダー作は、隠れた名作といっても良いと思う。

記:2007/10/13

album data

SOUTH SIDE SOUL (Prestige)
- John Wright

1. South Side Soul
2. 47th And Calumet
3. La Salle St. After Hours
4. 63rd And Cottage Grove
5. 35th St. Blues
6. Sin Corner
7. Amen Corner

John Wright (p)
Wendell Roberts (b)
Walter McCants (ds)

1960/08/30

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