子猫をお願い/試写レポート

      2018/01/09

koneko

“軍事モノ”以外の韓国映画を観るのはじつはこれが始めてなのだが、なかなかテンポの良い作品で最後まで飽きることなく楽しめた。オススメ映画の一つに挙げたい。

韓国の“今どきの女の子”を描いているだけあって、最近の韓国事情、というよりも“今の韓国の日常風景”が手に取るように分かり、興味深かった。

舞台は、仁川(インチョン)という港町。
ソウルからは電車で1時間ほどの近郊都市なので、日本で言うと、東京に対しての成田とか(空港があるから)、横須賀とか(港があるから)それぐらいの位置づけの町なのだろうか。
港や空港があるにはあるが、適度に都会過ぎないこの街の風景。あまり活気のない埠頭付近や、バラック建てのような安作りの建物が密集している迷路のような地域もあったりする(実際登場人物の女の子の一人の家は自然倒壊してしまう)。

この街を舞台にした、5人の女の子のお話。
高校時代は毎日仲良く過ごした仲間同士も、卒業後は微妙に心の距離が開きはじめている。

一人は、証券会社に勤める上昇志向の強く、服にも整形にもお金を惜しげもなくつぎ込む子。

一人は、デザイン画を描くのが得意なのだが、それを活かす就職先がなく、バラック作りの建物で老夫婦と一緒に暮らす無職の子。

二人は、アクセサリーの露店で生計を立てているいつも明るい中国系の双子姉妹

そして、主人公。彼女は、小児麻痺の青年詩人の口述する詩をタイプで打つボランティアをし、自営業の家を手伝いながらも常に自分の居場所を探している。グループの中では一番仲間を気遣う優しさを持ち、なにか衝突があると調整役に回ることが多い。

あるときは、仲間5人で楽しくはしゃいだり、あるときは衝突したり、取り巻く環境の差によるすれ違いが多くなったりと、20歳の揺れ動く彼女らのそれぞれの生き様をみずみずしく描いている。

この映画の成功は、テヒ役のペ・ドゥナの演技が大きいと思う。
とにかく、表情がクルクルかわる彼女がとても可愛らしいし、才気あふれる女優だと思う。
日本の役者で言えば、池脇千鶴のニュアンスがもっとも近い。

ヘジュ役のイ・ヨウォンも素敵。彼女のルックス、気質、ライフスタイルは、古き良きバブル時代の日本のアッシー君、ミツグ君を従えた女性みたい。あの時代は、消費が自分を救い、自分をも変えてくれると信じられていた、いや、誰もがそう信じたかった時代だからね。

観た日:2004/03/19

movie data

製作年 : 2001年
製作国 : 韓国
監督 : チョン・ジェウン
出演 : ペ・ドゥナ、イ・ヨウォン、オク・ジヨン、イ・ウンシル、イ・ウンジュ、オ・テギョン、キム・ファヨン ほか
配給 : ポニーキャニオン×オフィスエイト
公開 : 2004年6月~

記:2004/04/21 

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