海月姫/鑑賞記

      2021/02/11

海月姫

『あまちゃん』終わって

NHKの連続テレビドラマ小説の『あまちゃん』で主演を勤めた能年玲奈は、この作品で一躍国民的ヒロインのスターダムにのし上がった。

彼女の魅力の虜になった人も多いはず。

惜しまれつつも終了した『あまちゃん』。

では次の作品は?ということで、多くの人は固唾を呑んで次回作に期待を寄せてたに違いない。

能年キャラが活きた作品

そして、『あまちゃん』終了後の第一作は、翌年2014年の『世にも奇妙な物語'14春の特別編』の「空想少女」というエピソードの主役だった。

『あまちゃん』でのアキちゃん役で強烈に放たれた能年玲奈のイメージ、すなわち「基本⇒ヘタレ。でも⇒一生懸命ガンバる」というキャラを踏襲した役柄だったため、多くの視聴者は『あまちゃん』の天野アキとのイメージが重なり、納得したと思う。

その後、同年8月に『ホットロード』が公開され、つづいて年末に『海月姫』が公開された。

『ホットロード』のヒロイン・宮市和希は必ずしも能年玲奈である必然性はなく、極論すれば他の同年代の女優でも演じることが出来た役柄だと個人的には思っている。

しかし『海月姫』の場合は、別な角度から、能年玲奈が多くの視聴者に植えつけた「基本⇒ヘタレ。でも⇒一生懸命ガンバる」の路線を活かした作品だと感じている。

「のだめ」監督が魅せる楽しいエンタメ映画

エピソード的には、オタクというか腐女子というか、社会不適合者というか、要するに一般的な社会生活を送る一般人からは「キモイ」と言われても仕方のない女子の巣窟であるアパートの取り壊しをめぐる話。

最後は独自のブランドを立ち上げ、ファッションショーを催し、なんとか取り壊しを免れるという、まあ、ありがちなストーリーではある。

ここでの能年玲奈は、『あまちゃん』のアキちゃんとは異なる新しい魅力を放っていたのかというと、必ずしもそういうわけではないかもしれないが、アキちゃんと重なる要素が多分にあるので、『あまちゃん』的な彼女をもっと見たいと思っている人は、安心して鑑れるのではないかと思う。

ただ、男子禁制の「天水館」の住人が皆、ひと癖もふた癖もあるような濃いキャラばかりなので、能年玲奈が持つ奔放なキャラが薄まってしまっているのは致し方ないこと。彼女の存在が一番まともに見えてしまうくらいだからね。

それでも、能年玲奈がどうのこうのという以前に、映画という作品としては、楽しい2時間を過ごせる映画だと思った。

さすが『のだめカンタービレ』の川村泰祐監督のことだけはあり、女子たちの「賑やか、ワイワイ、元気に明るく活動」する姿を鬱陶しさを感じさせずに、コミカルに仕上げる安定感のある仕上がりだ。

movie data

監督:川村泰祐
原作:東村アキコ
脚本:大野敏哉、川村泰祐
音楽:前山田健一
主題歌:SEKAI NO OWARI
キャスト:能年玲奈、菅田将暉、長谷川博己、池脇千鶴、馬場園梓、太田莉菜まやや、篠原ともえ、片瀬那奈、速水もこみち、平泉成、内野謙太柏木ヤスオ
製作年:2014年
製作国:日本
配給:アスミック・エース
上映時間:126分
映倫区分:G

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