伊東美咲と田村正和の『ラストラブ』~試写レポート

   

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テナーマン・田村

先日、田村正和と伊東美咲主演の『ラストラブ』の試写を観てきた。

なんでも、田村正和14年ぶりの映画だそうで。
彼が演ずるのはジャズマン。
テナーサックス奏者だ。

この映画のために、彼はいままで吹いたことのないサックスを先生についてゼロから練習したのだとか。

その成果あってか、なかなか太くて柔らかい音色を奏でていた。

ベン・ウェブスター

あの細い身体から、あの太い音色。ちょっとしたギャップに驚くと同時に、さすが役者、ジャズマンならではの風格も感じた。

とはいえ、田村正和が吹くのはテーマのみだが……。

それでも、彼のちょっと古風で、温もりのある音色は、設定上の、ニューヨークから突如シーンを消した伝説のジャズマンならではの独特の個性。

とくに、ブランフォード・マルサリスや故・マイケル・ブレッカーなどのテナー奏者のスタイルがシーンの中心的存在のニューヨークにおいては、まるでベン・ウェブスターのような、
♪もわぁ~
とした、温かくゆったりとしたテナーは、異色といえば、異色。

周囲のテナー奏者からは一線を画する存在だったのだろう。

だから、妻の死とともにシーンから突如として消えた伝説のテナーマンという設定は、音色の面からも説得力は、一応あったと思う。

ベン・ウェブスター的な音色、スタイル

田村正和が実際に出すテナーの音色、実際に存在したジャズマンに当て嵌めるとしたら、うーん、とりあえず、ベン・ウェブスターが最初に思いついた。

深いビブラート、温かく包み込むような音色。

映画を観終わったら、ベン・ウェブスターとアート・テイタムのアルバムを聴きたくなった。

>>アート・テイタム~ベン・ウェブスター・カルテット

で、帰宅して聴くと、当たり前だが、こちらのほうが、格が二枚も三枚も上手だった(笑)。

ま、当たり前といやぁ、当たり前だ。

しかし、久々に素晴らしいアルバムを聴くキッカケを与えてくれたこの映画には感謝。

美咲ファンには良いと思う

で、肝心の映画は…、といいますと。

うーむ、これは原作が悪いのかもしれないが(原作は未読)、あまりにもストーリーは漫画のような偶然が重なりすぎるというか、話が出来すぎというか、描写がよくも悪くも都合よすぎで、映画というよりはドラマを観ているという感じではありました。

ま、伊東美咲ファンにとっては悪くない内容ではあると思うので、美咲さんファンは是非、劇場で観よう!

記:2007/04/06

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