リトル・バンド・ビッグ・ジャズ/コンテ・カンドリ

   

洗練と重量感が絶妙に共存する西側ハードバップ

コンテ・カンドリは、趣味の良いトランペッターだ。

高音域を多用した吹奏スタイルにもかかわらず、まったく耳ざわりに感じさせない柔らかなアタックと音色が特徴。

奇を衒わず、あくまでストレートな直球勝負なアプローチが潔く、終始メロディアスさを念頭においたプレイにも好感が持てる。

決してスケールの大きな吹奏とはいえないが、優れたバランス感覚の持ち主で、彼のプレイにはまったくといってよいほど破綻がない。

このアルバムは、ビッグバンドと間違えそうなタイトルだが、カンドリのトランペットとバディ・コレットのテナーという渋いコンビがフロントを飾るクインテットだ。

マルチ・リード奏者バディ・コレットは、ここではテナーに専念している。

収録曲のすべてがカンドリの自作。

冒頭のマイナー調の曲に代表されるように、洗練と重量感が絶妙に共存している曲調、そしてアンサンブルは、“西側ハードバップ”とでも言うべきテイスト。

軽やかなウエスト・コーストは苦手。俺はイースト・コーストの重たさが好きなんだもんねぇ~、と嘯くハード・バップ・マニアでも納得する内容なのではないだろうか?

腹八分目の心地よい充実感。
ウエストコースト・ジャズの隠れた名盤といえよう。

まずは、お耳をお通しあそばせ。

記:2010/09/18

album data

LITTLE BAND,BIG JAZZ (Fresh Sound)
- Conte Candoli

1.Muggin' The Minor
2.Mambo Diane
3.Countin' The Blues
4.Zizanie
5.Macedonia
6.Little David

Conte Candoli (tp)
Buddy Collette (ts)
Vince Guaraldi (p)
Leroy Vinnegar (b)
Stan Levey (ds)

Recorded in Hollywood 1960/02/03

 - ジャズ