イースト・コースティング/チャールス・ミンガス

   

人数以上のサウンド

チャールズ・ミンガスと、ビル・エヴァンス。

異色の取り合わせだ。水と油といってもよいかもしれない。

しかし、ここでのエヴァンスは、エヴァンス色を前面には出さずに、ミンガスの濃くてクセのあるサウンドキャラクターの中にうまく溶け込んでいる。

なおかつ、手堅いサポートをしつつも、ときおり鋭く演奏に斬り込みを入れ、ドロッとしたミンガス宇宙を拡大増幅させることにも貢献しているのだから大したものだと思う。

このアルバムも例に漏れず、ミンガス色が全開。

ベース、ピアノ、ドラムに管楽器が3人の編成。

トロンボーン、トランペット、サックスが各1名ずつ。

え、嘘だろ? たったこれだけの人数で、この厚みと奥行きのあるサウンドが?!

この驚きは、代表作『直立猿人』を聴いて感じたときの感触そのまま。

まさにミンガス・マジックだ。

太くて強いベースのみならず、ミンガスは、アレンジの達人だったのだ。

どこを切り取ってもミンガスの濃い体臭が匂ってくる。

クラレンス・ショウのトランペットも切なくミンガスの世界に色を添えている。

記:2010/08/02

album data

EAST COASTING (Bethlehem)
- Charles Mingus

1.Memories Of You
2.East Coasting
3.West Coast Ghost
4.Celia
5.Conversation
6.Fifty-First Street Blues

Charles Mingus (b)
Clarence Shaw(tp)
Jimmy Knepper (tb)
Shafi Hadi(=Curtis Porter)(as,ts) Bill Evans (p)
Dannie Richmond (ds)

1957/08/06

 - ジャズ