インナー・アージ/ジョー・ヘンダーソン

      2021/02/06

『インナー・アージ』は、ありそうで、じつは無かったブルーノートでは唯一のジョー・ヘンダーソンのワン・ホーン作品。

やっぱり、目玉は《アイソトープ》でしょ。

ジャムセッションなどでは、「この曲やりましょう」なサックス吹きがとても多いのデス。

ジョーヘンの曲作りの特異さから、壮大なストーリーを描くようなフレーズの組み立て方まで、ワンホーンだからこそ見えてくることもあるし、ワンホーンだからこそ、心ゆくまでジョーヘンのテナーを堪能できるのだ。

コルトレーン・カルテットの俊英、マッコイ・タイナーのピアノに、当時はまだウッドベースでぶっ太い低音を奏でていたボブ・クランショウの参加も魅力。

背後でビシビシとジョーヘンを煽るのも、コルトレーンの盟友、エルヴィン・ジョーンズだ。

つまり、コルトレーン一派が2人も参加しているのだ。

にもかかわらず、(アタリマエだが)決してコルトレーンな色には染まらず、あくまで、ジョーヘン独特のくすんだ中間色を出し続け、モゴモゴとした不穏な匂いを常にたたえた重量感あふれるテナーサックスの魅力が味わえる。

ジョーヘンのダークにトグロを撒くテナーの世界を心ゆくまで味わえる隠れ名盤の1枚だ。

ジャケットもカッコいいね。

写真もいいし、黒とオレンジの配色は、まるでインパルス!

記:2010/06/10

album data

INNER URGE (Blue Note)
- Joe Henderson

1.Inner Urge
2.Isotope
3.Barrio
4.You Know I Care
5.Night and Day

Joe Henderson(ts)
McCoy Tyner(p)
Bob Cranshaw(b)
Elvin Jones(ds)

1964/11/30

 - ジャズ