ロンドン・コレクション vol.2/セロニアス・モンク

   

いつものモンクがどこか違う

『vol.1』に収録されたピアノソロのレコーディングの後に現われたのが、ベーシストのマッキボンと、ドラムスのアート・ブレイキー。

この3人によるピアノトリオの演奏を中心に収録したのが、この『vol.2』だ。

淡々としたピアノに加えて、ドラムもベースも淡々としたバッキング。

決して前面に出るような派手なプレイはしていない。

モンクはいつもの鋭角的、幾何学ピアノなのだが、彼独特のアクが全く感じられないのは一体どうしたことか。

だからといって演奏内容が悪いというわけでは決してない。

モンク特有の磁界はまぎれもなく存在している。

演奏されたナンバーは、モンクによるオリジナルのものばかりで、キャリア初期の段階から演奏されているものばかり。

よって、どうしても頭の中では、ブルーノートやプレスティッジなどの初期の演奏と比較しながら聴いてしまう。

興味深いことに、キャリア初期の演奏と比較すると、同じようなアプローチの演奏にもかかわらず、まったく別の質感をともなって耳の中に入ってくる。

曲もアプローチも一緒。
それなのに、まったく違う質感。

いったい何故?
そこが不思議。

演奏の表情の違いがこれほどまで露になるピアニストは、モンクくらいなものだろう。

記:2012/10/01 

album data

THE LONDON COLECTION vol.2 (Black Lion)
- Thelonious Monk

1.Evidence
2.Misterioso
3.Crepuscule With Nellie
4.I Mean You
5.Criss Cross
6.Rubby,My Dear
7.Nutty
8.Hackensack

Thelonious Monk (p)
All McKibbon (b)
Art Blakey (ds)

1971/11/15

 - ジャズ