ソフトリー・アズ・ア・サマー・ブリーズ/ジミー・スミス

   

「朝日のように」ではなく「夏風のように」

《朝日のようにさわやかに》の「ソフトリー・アズ・イン・ア・モーニング・サンライズ」ではなく、「夏のそよ風のように柔らかに」。

ジャケットで傘をさしているジミー・スミスの表情は、まったくソフトではないけれど、収録されている演奏の多くは柔らかく、聴きやすいです。

ブルーノートの初期のアルバムに吹き込まれた獰猛にも前へ前へ進んでいくバイタリティは影を潜め、一歩タメとクッションを効かせながら、発する一音一音の情感を豊かにするという方向にシフトしているように感じますね。

1958年に録音されたにもかかわらず、1965年に発売されるまでお蔵入りになっていた音源を集めて作られたこのアルバム。

「お蔵入り音源」というと低品質な演奏をイメージしがちですが、そこはブルーノートのこと、いつ発表してもおかしくないほどのクオリティの演奏でも、あっさりとお蔵入りしてしまうのが、社長でプロデューサーでもあるアルフレッド・ライオンの完璧主義なところ(完璧主義すぎる?)。

よって、どのナンバーも聴きやすい内容に仕上がっていることはもちろん、特に、ケニー・バレルやフィリー・ジョーが参加したナンバーに駄演などありようもなく、スロー、もしくはミドルテンポで演奏されたナンバーのどれもが、気持ちよく聴けるナンバーばかり。

特に《サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー》なんかイイですよ~。

リラックスした気分で雨降りの午後に(べつに雨降りの午後じゃなくてもOKですが)ちょっとけだるい気分になって聴きたいものです。

ただ、個人的には後半数曲に参加しているビル・ヘンダーソンのヴォーカルはあまり好みではないかな。

ケニー・バレルのヴォーカルの絡み方がなかなかお洒落なので、ボリューム的には奥に引っ込んだ感じではあるけれども、《エイント・ノー・ユーズ》などは、ケニー・バレルのギター中心に聴いている。

記:2012/04/13

album data

SOFTLY AS A SUMMER BREEZE (Blue Note)
- Jimmy Smith

1. These Foolish Things
2. Hackensack
3. It Could Happen To You
4. Sometimes I'm Happy
5. Someone To Watch Over Me
6. Home Cookin' (a.k.a. One For Philly Joe)
7. Willow Weep For Me
8. Ain't No Use
9. Angel Eyes
10. Ain't That Love

Jimmy Smith (org)
Kenny Burrell (g) #1-4
Eddie McFadden (g) #5 & 6
Ray Crawford (g) #7-10
Philly Joe Jones (ds) #1-4
Donald Bailey (ds) #5-10
Bill Henderson (vo) #7-10

1958/02/26
1958/10/14

 - ジャズ