スイート・ハニー・ビー/デューク・ピアソン

   

ダサかっこいい

このアルバムのオリジナル・バージョンの《スイート・ハニー・ビー》が大好き!

と臆面もなく宣言してしまおう。

もちろん、リー・モーガンのバージョンも悪くないけれども、ちょっとテンポが速いかな。

それにラッパだと、なんとなく立派な曲に聴こえてしまう。

立派な演奏も良いが、この曲には、ちょっとした怪しさ、スパイスとしての隠微さがあったほうが良いんではないか?と思う。

だから、デューク・ピアソンのオリジナルバージョン。

ひょっこり、ひょこひょことしたジェームス・スポールディングの軽やかで、なにやら胡散臭げなフルートが最高。

この曲にはフルートがよく似合う。

リーダーのピアソンも、この曲にはフルート!ということを見抜いていたに違いない。

だって、フレディ・ハバードにもジョー・ヘンダーソンにもソロを取らせていないからね。

アドリブをとるのは、ピアソンのピアノとスポールディングのフルートだけ。

きっと、トランペットやテナーサックスがソロをとると、「軽やかな胡散臭さ」が半減してしまうと判断したのだろう。

だとしたら、さすが!

だって、やっぱりこの曲調に、甘くてダサさの一歩手前のカッコ良いメロディを彩る管楽器はフルート以外にありえないからね。

いや、もちろん、リー・モーガンの 『カリスマ』 のラッパの吹奏も悪くはないんだけどさ、やっぱり、なんだか別な曲に聴こえちゃうんだよね。

ジャケットも良い。

なんだか、滅茶苦茶レトロな雰囲気がかえって新鮮だし、粒子の粗い、なんだかよく分からないシチュエーションだけども、青空をバックに、なにやら楽しそうな男女のジャケ写もグー(笑)。

花の女性に、それに寄ってくるミツバチが男性という図式なのかな?

このジャケ写じゃなければ、アルバムの魅力も半減していたことでしょう。

オレンジとピンクで、ちょこんと乗っかる細ゴシック体のタイトルのレイアウトもイカしている。

以前仕事で、レトロなテイストのCMを作ろう!となったときに、参考映像として、レナウンの「イエイエ」のテレビCM映像を観たことがあるのだが(モンティ・パイソン風で斬新な映像だった)、このCMで紹介されているカラフルなニットをジャケットの女性が着ている服を見ると思い出してしまう。
ちなみに、ジャケ写の女性はピアソンのフィアンセのベティさんとのこと。

とにもかくにも、仕事下半身ムズムズ、脳内ひょこひょこな愛聴盤です。

タイトル曲以外では、ムーディな《ガスライト》が良い。
ほんわかとしたメロディとアレンジが、まるで湯船につかった時のようなリラックス気分。

記:2006/02/24

album data

SWEET HONEY BEE (Blue Note)
- Duke Pearson

1.Sweet Honey Bee
2.Sudel
3.After The Rain
4.Gaslight
5.Big Bertha
6.Empathy
7.Ready Rudy?

Duke Pearson (p)
James Spaulding (fl&as)
Freddie Hubbard (tp)
Joe Henderson (ts)
Ron Carter (b)
Mickey Roker (ds)

1962/12/07

YouTube

動画でもこのアルバムを解説しています。

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