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ルー・メッカ・カルテット/ルー・メッカ

ルー・メッカ・カルテット/ルー・メッカ


Lou Mecca Quartet

ギター初心者が思い描く理想像

私はギターを弾かないし、弾けないが、もし将来ジャズギターにトライするならば、ルー・メッカをお手本にしたい。

ルー・メッカの端正なギターを聴いていると、教則本や音楽教室の先生の指示通り真面目に練習すれば、ルー・メッカにはなれないが、ルー・メッカが弾いているようなフレーズが弾けるようになれるんじゃないかと思えるからだ。

それくらい、ルー・メッカのギターには、ギターを弾いたことがない楽器素人が思い描く「練習すればこうなれるんじゃないのかな?」という分かりやすいゴールが提示されている。

もちろん、悪く言えば教科書的なギターなのかもしれないが、良く言えば、誰もが目指す模範的演奏の典型ともいえる。

そして、ルー・メッカの端正なフレーズには血肉がきちんと通い、音が脈打っているので、決して優等生による優等生のためのギターではないのだ。

また、フレーズ以前に、整った音の粒立ちと弦のつややかな響きも特筆すべきものがある。

これぐらい弾けたら、ものすごく気持ち良いだろうなと非ギタリストにもイメージしやすいプレイなのだ。

ギタリストには「盗み」の宝庫?

また、ジャズギターを学んでいる人にとっても、ルー・メッカのギターは格好のお手本になるのではないだろうか。

もっと言えば、ギタリストにとっては「盗み」の宝庫になるのかもしれない。

テーマの処理の仕方が巧みなのだ。

ギター弾きにとって、スタンダードの演奏をする際、ギターがテーマを奏でることになった際は、テーマの歌わせ方に思い悩むこともあると思う。

『スタンダード1001』や『リアルブック』などの電話帳の五線譜に書かれた音符を、ただなぞるだけでは面白味に欠ける。

特に、スローテンポの曲の場合、休符の「間」の時間が長く感じるため、そこの箇所は、そのまま「間」を設けてしまっても良いのかもしれないが、少しぐらい「間」を埋めるための気の利いたフレーズのひとつやふたつくらいはストックしておきたいものだ。そういう際の「ちょっとしたフレーズ」の宝庫でもあるのだ、ルー・メッカのギターは。

また、テーマのちょっとした崩し方や合いの手の入れ方なども、ギタリストにとっては参考になるのではないかと思う。

なにしろ、このアルバムに収録されているナンバーは、《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》、《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》、《バーニーズ・チューン》《歌こそは君》、《ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングズ》など、耳慣れた楽曲(スタンダード)が多い。

だからこそ、頭の中にある原曲のメロディと、ルー・メッカが弾くテーマのメロディを比較をすれば、彼のアプローチが明確に浮かび上がり、仮に取り組んでいる曲が違えど、テーマに臨む際の参考にはなるはずだ。

もちろん、今の時代に1955年に奏でられたジャズギターを聴けば、あまりにオーソドックス過ぎるフレーズもあるだろうし、時代を感じてしまうフレーズもあるかもしれないが、気に入ったフレーズを抽出し、あとは演奏に臨む際のアプローチのロジックを盗んでしまえばよいのではないかと思う。

涼やかなヴァイブが心地良い

このアルバムのミソは、ヴィブラフォン奏者が参加していること。

ギター、ベース、ドラムスといった典型的なギタートリオの編成だったら、もう少し地味な内容になっていたことだろう。
もしかしたら、暗くこじんまりと小さくまとまった演奏に陥っていたかもしれない。

ただでさえ、モノトーンになりがちなギタートリオという編成に、鮮やかになりすぎずに、色を添えているジャック・ヒッチコックの貢献度は大きい。

彼のヴァイブが加わることによって、演奏のカラーを独特なものに塗り替えている。
涼やかでノスタルジックなヴィブラフォンの響きは極上のリラクゼーション。

ブルーノートに遺したルー・メッカ唯一のリーダー作だが、同じ編成で、あと2~3枚分は録音を残しておいて欲しかった。

記:2019/03/28

album data

LOU MECCA QUARTET (Blue Note)
-Lou Mecca

1.All The Things You Are
2.You Go To My Head
3.Bernie’s Tune
4.Stan’s Invention
5.The Song Is You
6.Just One Of Those Things

Lou Mecca (g)
Jack Hitchcock (vib)
Vinnie Burke (b)
Jimmy Campbell (ds)

1955/03/25

YouTube

上記テキストの内容と、ほぼ同じことを動画でも話しています。

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