宇宙一かっこいいメルカバを作ろう特集の『ホビージャパン』2018年9月号

      2021/02/11

ホビージャパン18年9月号

ブライガーだけじゃない!

月刊『ホビージャパン』の2018年9月号の表紙は、ド迫力のブライガー。

ミリタリーモデル好きだったら、これを見た瞬間、「ああ、また巨大ロボット特集ね、読むのやーめぴっ!」となるかもしれませんが、ちょっと待った!

おしい特集を逃す可能性大ですぞ!

たしかに、巻頭の第1回「ロボットキャラクター大会」の結果発表は今号の目玉企画かもしれませんが、いやいやそれ以上にイスラエルの兵器好きからしてみれば、後半の特集、「宇宙一かっこいいメルカバを作ろう」特集こそが、今号の垂涎企画なのであります。

なぜか身の上話

メルカバ……。

好きなんですよ。

中学3年生の時、高校受験を終えた私は喜び勇んでタミヤのメルカバの封印を解いてむさぼるように作りました。

ちょうど、私が中2か中3の時にタミヤから1600円ぐらいで1/35スケールで発売されたんですね。

毎号『タミヤニュース』を欠かさずチェックしていた私は、発売情報はチェックしていましたし、少ないお小遣いを貯めて「買ってやる~、買ってやる~」なんて意気込んでいたのですが、結局のところ、優先順位がボトムズやマクロスに回ってしまい、さらに受験期は、ドルバックやらSF3D(現・マシーネン・クリーガー)のA.F.S.やP.K.A.が発売されるやら、あとはYMOとその周辺のミュージシャンのソロアルバムもどんどん発売されるし、『サウンドール』やら『キーボードマガジン』やら『ビックリハウス』や『宝島』などの定期購読誌も買わなければで、とにかくお金が足りない足りない。

というより、勉強する時間も足りない、足りない。

「勉強せい!」と親に叱られながらも、日々、なるべく接着剤やパテや塗料のシンナーの匂いが家の中に充満しないよう、こっそりとプラモを組み立てていたものです。

そんなことをしているもんだから、結局、第一志望、第二志望を逃し、かろうじて引っかかった滑り止めの高校しか合格しなかったんだよなぁ、まあいいけど、高校時代はいろいろなことが出来て楽しかったから、わが中3時代の受験生活は一点の悔いなし!って感じす。

そして合格した私は、大手を振って、ボトムズの1/35やマクロスの1/72のプラモよりもデカい箱、タミヤのメルカバを作ったわけです。

サンドイエローとダークイエローを適当にピースコン(と、当時やエアブラシのことを呼んでいた)で吹き付けて、あとはレッドブラウンやフラットブラックでスミ入れをして、バフとフラットホワイトでドライブラシというお気軽仕上げをして完成させ、ちょうど近所のおもちゃ屋さんでプラモコンテストが行われたので出品したところ、準優勝をした記憶があります。

既にこの頃は第一次ガンプラブームは過ぎ去っていたものの、それに続くロボットアニメ(ダグラム、ザブングル、マクロス、ボトムズなど)が毎週放映されており、それに伴いプラモもたくさん発売されていたこともあり、近所のおもちゃ屋さんや模型店はこぞって夏休みなどの長期休暇にはプラモデルコンテストを催していました。

考えてみれば、当時私が住んでいた実家の周辺だけでも3つのオモチャ屋さんと1つの模型店がありましたから、今考えれば、かなりの密度でプラモを売っている店があったことになります。

これらの店舗が、春休みの間にいっせいにプラモコンテストを催すので、とにかくプラモ作りと受賞するための作戦・計画・立案で忙しい日々でした。

飛行機、戦車などのスケールモデルの出品が多そうなところには、あえてアニメのキャラをミリタリー風に塗装して出品したり(ザブングルのウォーカーマシンが格好のアイテムでしたね)、ガンダムものが中心になりそうなところには、あえてSF3Dのパワードスーツを出品して意表を突いたりと。

メルカバの場合は、いちばん年齢層が低そうなおもちゃ屋さんに出品しました。
おそらく、参加者は皆、ガンダムやズゴックあたりを出してくるだろうから、そこに戦車が飾られてたら注目を浴びるんじゃないかというズルい考えです。

結果的に、私が中3から高1にかけての春休みに開催されたプラモコンテストに出品した作品のすべてが、なんらかのカタチで賞をいただくことが出来、トロフィーやら、表彰状やら、金一封やらをいただいてウハウハ気分でしたが、今考えてみれば、この時期が私のプラモ全盛期だったかもしれませんね。

高校に入ってからも、プラモ作りは続けていましたが(なにしろ高校2年生の時にゼータガンダムが始まりましたから)、中学校の時ほどのペースではなくなってきました。

中学の時からシンセサイザーなどを使った多重録音で音楽を作り続けていたのですが、そちらのほうが面白くなってきたんですね。

同じ「作る」でも、カタチから音のほうに関心が向き始めてきた。

そして、大学に入ったら、もう完全にプラモからは遠ざかり、たぶん1個も作っていません。
ジャズにどっぷり浸かっていましたからね。
プラモどころではなかったのです。

その反動で、最近はバカみたいにバカスカとガンプラを作っているわけですが……。

参考記事:HGUC 百式が、ガンプラ復帰のキッカケとなった

かっこいいメルカバ

メルカバからあらぬ方向に話が飛んでしまいましたが、とにもかくにもメルカバはカッコいい。

宇宙一かどうかまでは分かりませんが、太陽系くらいのスケールの中ではダントツにカッコいいでしょう。

『タミヤニュース』で、メルカバがゴラン高原でシリアのT-72をフルボッコにしたという記事を読んだときの挿絵が私が見た最初のメルカバだったのですが、その時は、まるでSFに登場する近未来の戦車のようだと思ったものです。

今までの戦車とはまったく違ったカタチがものすごく新鮮で、その思いは今でも続いています。

ちょうどその頃、スズキからカタナというバイクが出て、タミヤもキット化するなど、世の中はちょっとしたカタナブームだったのですが、私はカタナを始めてみた時も、かっちょええ近未来のバイクだと思ったものです。

そして、今でも、当時の銀色カウルのカタナ(マシンマンが乗っていたタイプね)を見ても、相変わらず、かっちょええ近未来のバイクに見えて仕方ないのです。
もっと近未来っぽいフォルムのバイクはいっぱい出てはいるのですが。

メルカバは、その左右非対称で複雑なフォルムと、エンジンを前部に搭載することによって、砲等が車両後部に寄っているところが非常に斬新であり、またエンジンが車両前部になったことによって生まれた空きスペースを利用して、ちょっとした兵員輸送車にもなるという、設計コンセプトとともに運用方法もなかなかユニークな戦車です。

かっこいい色

それにも増して、私が「メルカバ萌え」な理由がさらにあって、それは、色なんですよ。

先述したとおり、昔の私はサンドイエローやダークイエローを適当に塗っただけですが、じつは最近のメルカバの写真を見ると、青とも緑ともつかないダークイエローっぽい色で塗られているんですね。

「シナイグレー」、「シナイブルー」と呼ばれている独特の色味が、これまたタマランわけでして、この色でメルカバを塗りたい場合は、モデルカステンからシナイグレーが発売されているので、それをそのまま使用すれば良いのかもしれませんが、いかんせん高額なんですよ。

高額とはいっても「塗料にしては」高額なだけで、滅茶苦茶高いというわけではないのですが、ケチな私だったら、塗料を1ビン買うんだったら、ザクを1個買ったほうがいいわ、なんて思う人なんで、いろいろとネットサーフィンをしながら、シナイグレーをオリジナルブレンドで調合しているモデラーたちの記事を読みながら、「へぇ~」とか「ほぉ~」と感心しているだけで、結局自分はなにも手を動かしていないという(笑)。

タミヤのアクリルカラーでいえば、フィールドグレーやフィールドブルーをベースに、ダークイエローなどのサンド系のカラーを配合する場合が多いように感じます。

模型の色って、「この色とこの色を何パーセントずつ混ぜれば完ぺきに正解だ!」ということはあり得なくて、とにかく光の加減やスケールエフェクトによって、いかようにも見え方が変わり、いかようにも解釈が変わってくるので、難しいといえば難しい、自由で楽しいといえば楽しいんですね。

オレだったら、こう塗るかなぁ~なんて考えているうちに、どんどん時間が過ぎてゆく。

最近、どうも1日の時間の経過が早いなと思っていたら、色のブレンドとか、色を塗る順番とか、そういうことばかり空を見上げながら考えている時間が多いことに気がついた(笑)。
アホですね。

それはそうと、今回の『ホビージャパン』誌上で紹介されている作例の調色レシピは、どれもが比較的シンプルな塗料の配合がベースカラーとなっていますが、とにもかくにも、何はさておき、カッコいいんですよね、あのカタチにあの色ですから。

メルカバ好きだったら、誌面に穴が開くほど見つめるに違いない特集がひっそりと、雑誌の後半あたりに忍んでいるなかなかニクい構成の号なのです、今回の『ホビージャパン』は。

しかも、気付けば40ページのボリューム。
なにげに気合がはいっている!

これにあと、数人のモデラーの作例をプラスし、もう少し詳しくメルカバやイスラエル国防軍に関しての資料や文献を掲載すれば、「別冊メルカバ特集」として、一冊の本が出来ちゃうんじゃないかと思うほど。

というより、ぜひ、出して欲しいですね、まるごと一冊メルカバ本。

ガンプラのまるごと一冊本を出したほうが売れるのでしょうが、たまには、このような手堅い企画の本も良識あるプラモファンたちは見逃さないはずです。

記:2018/08/03

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