カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズが大好きなんです。

   

hihat

アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズの『アット・ザ・カフェボヘミア vol.1』。

どうしても、初期のブレイキーの代表作というと、同じライヴ盤だと『バードランド』のほうが有名だし、なにしろトランぺッターにクリフォード・ブラウンが参加していることもあって、世評だと、圧倒的に『バードランド』のほうに軍配が上がっているように感じる。

もちろん『バードランド』の勢い、熱気、演奏内容は素晴らしいものがあるが、この上記3要素に、微妙な「哀愁」や「切なさ」がブレンドされたのが『カフェ・ボヘミア』だと私は思う。

だから、むしろ、じっくり聴きこむと、むしろこちらのほうが日本人好みのアルバムなんじゃないかな?とも思っている。

カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ VOL.1カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ vol.1

このアルバム、大好きなんだよねぇ。

特にホレス・シルヴァーの《ザ・テーマ》のピアノソロが。

ポッキンポキンした硬質な音色で疾走する、このフレーズは、ピアノでよくコピーしたものです。

さらには、ロック的なフィーリングも感じるので、ベースでも練習しました。

ギターをやっている人は、きっと、ギターで弾いてもハマるんじゃないかな?

正直、1曲目の《ソフト・ウインズ》は、ちょっと肩慣らし的な演奏で、演奏時間も少々長めで退屈だけれども、これを我慢して次に登場する急速調の《ザ・テーマ》をいつも胸をワクワクさせて聴いています。

そして、お次の《マイナーズ・ホリデイ》。

出たぁ! 必殺ブレイキーのドンドコドラムソロに、急速調なテーマのアンサンブル。

カッコイイ!

このスピード感、この迫力。

一時期はずいぶん虜になったものです。

で、後半に登場するホレス・シルヴァーのピアノソロが……
あらら?

1曲前の《ザ・テーマ》と同じじゃん(笑)。

あらかじめ作曲されたストックフレーズだったのね(笑)。

でも、カッコいいから、よろしいのではないでしょうか。

ぶっ太い低音でテーマからアドリブまでをダグ・ワトキンスが引き受ける《ホワッツ・ニュー》で気持ちをいったんクールダウン。

ベーシストならずとも、真心こめて旋律を奏でるワトキンスのプレイに耳を傾けよう。

ラストの《プリンス・アルバート》、このテーマもよく練習しましたなぁ。
ようするに《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》なんですね、コード進行が。

だから、この旋律を学習することが、そのまま《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》のアドリブの練習にも繋がる。

この進行に則って、素晴らしいアドリブを取ったパーカーの演奏が《バード・オブ・パラダイス》になった。

同様に、このバージョンは、ケニー・ドーハムが、素晴らしいアドリブを取ったので、それがそのまま曲になったという次第。

ちょっとスタッカート気味なメロディの箇所が、「ズンドコドッコイ!」で、ちょっとダサいんだけれども、それも含めて愛らしい旋律ではあります。

この曲、Bメロのところでラテンにしたりワルツにしたりと、リズムを変えたがるリズムセクションが多いけれども、この演奏も例に漏れずって感じかな。

露骨に3拍子です。

“ずんちゃっちゃ・ずんちゃっちゃ”って。

ちょっと、アンサンブルが乱れておりますが、それが逆に生っぽくて良い。

生っぽければ、なんでもイイのか?と聞かれると、必ずしもそういうわけではありませぬが、ライブに参加しているような臨場感は感じられるので、この場合は○。

初期メッセンジャーズのライブといえば、『バードランドの夜』が傑作の誉れ高いが、こちらの『カフェボヘミア』も良いぞ。

同じライブでも、まったく違った味わいがあるんだよね。

向こうは、とにかく一直線で疾走しているが、こちらは、ゆるりとカーブを描きながら、疾走したり、徐行したりと、面白い。

勢いと同時に、微妙な陰りと切なさもチラリと垣間見える。

聴き比べてみてごらん。

記:2005/11/17

album data

AT THE CAFE BOHEMIA vol.1 (Blue Note)
- Art Blakey (The Jazz Messengers)

1.Soft Winds
2.The Theme
3.Minor's Holiday
4.Alone Together
5.Prince Albert
6.Lady Bird
7.What's New
8.Decifering The Message

Art Blakey (ds)
Kenny Dorham (tp)
Hank Mobley (ts)
Horace Silver (p)
Doug Watkins (b)

1955/11/23

 - ジャズ