阿修羅城の瞳/試写レポート

   

asyura

エンディングの歌がスティングなんだよね。

しかも、歌う曲はジャズのスタンダード。

それこそ、手垢がつきまくっているといっても良いほどのスタンダード曲、《マイ・ファニー・ヴァレンタイン》。

さらに、ピアノがハービー・ハンコックで、ベースがジョン・パティトゥッチという、なんとも豪華なパーソネル。

ま、ハンコックなだけに、いつものように、トーナリティをわざとボカした、冷静に調子っぱずれな(自覚的なアウトした)ピアノは相変わらずで、スティングの声との相性は普通に良いという、ま、名演でも駄演でもない、ハンコックさん、ここでも「お仕事」されていたのですねといった、一定水準のクオリティの演奏だ。

本編にマッチしているかは微妙な選曲だが、曲だけ取り出して鑑賞してみると、可もなく不可もなくな演奏ではある。
ま、映画的には意外な組み合わせ以上でも以下でもない人選と選曲で、それ以上のことは取り立てて言うことはなにもない。

劇団「新感線」の人気作品の映画化。
時代設定は一応、江戸なんだけど、ま、一応、江戸ってことにしておいてねって感じ。

あんまり、江戸って感じはしないし、ま、安土桃山時代でもぜんぜん良かったんだろうけれども、そこらへんの時代考証とか風俗などといった重箱の隅をつつのは野暮ってもんで。
この物語のメインディッシュは、あくまでも化け物と人の、スケールの大きいラブロマンスな話なわけだからね。

「鬼殺し」と恐れられた男と、恋をすると阿修羅になる女の恋のお話だ。
主役は市川染五郎なだけに歌舞伎のシーンは大きく取り上げられている。

宮沢りえが可愛いです。

小日向文世の四世鶴屋南北がいい味だしていたね。ちょっとベタなキャラだが、彼の飄々さが、物語を重苦しくせずに、良いアクセントになっていたことはたしか。

染五郎って結構カッコいいんだ!というのも、ある意味収穫。

「ライオン丸」、「白獅子仮面」、「変身忍者アラシ」といったような、昔の特撮ヒーローに変身するお兄さんのイメージだった。個人的にはね。
涼しいフェイスのお兄さんが、悪者相手に苦戦するも最後は勝つ!みたいな。

映画には初出演だそうですが、なかなか良いですよ。
劇中での彼の必殺(?)技は、「運命の赤い糸縛り」。
なかなか、粋でラヴな技を持っています。

観た日:2005/03/02

movie data

監督:滝田洋二郎
原作:中島かずき
脚本:戸田山雅司、川口 晴
視覚効果:松本 肇
音楽:菅野よう子
出演:市川染五郎、宮沢りえ、樋口可南子、小日向文世 ほか

記:2005/03/03

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