カフェモンマルトル

text:高野雲

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ビートキッズ/試写レポート

      2015/05/25

beat_kids

良い映画だった。

明るく、爽やかな青春ムービーだった。

正直、『リンダ・リンダ・リンダ』が、期待を大幅に下回ったため、『リンダ~』と同じバンド・ムービーの本作には、それほど期待していなかったのが正直なところ。

『スウィング・ガールズ』はまだ良かったにしても、昨年公開の三味線バトル映画『オーバードライブ』といい、キーワードとキャスティングの面白さだけに寄りかかっている感のある『リンダ~』といい、日本からは、若者が音楽やバンドをやる映画って、面白いのが生まれにくいのかなぁ、だから、今回もあまり期待しないほうがいいよなぁ、などと思いながら試写会場に足を運んだのだ(ちなみに海外の「バンドやろうぜ系映画」では、『ザ・コミットメンツ』が大好き)。

ところが、ところが。
良いじゃないですか。
気に入りましたですよ。

この映画の舞台は大阪。

大阪府和泉市出身のロックバンドHUNGRY DAYSのメンバーが出演・演奏しているが、本作の主人公はこのバンドのドラマー・森口貴大だ。エイジという岸和田育ちで、リズム感の良い転校生の役を演じている。

お母さん思いで、常に前向きな少年の役を汗臭くなり過ぎずに演じていて、好感が持てた。

さらに、相武紗季。

彼女のポイントが高い。

楽器店の娘にして、天才的な音楽センスを持つナナオという少女の役を演じている。

ナナオは、ピアノの腕前もなかなかだが、それ以上にドラムは小学生時代に近藤等則(ちょっと前衛というか尖がったスタイルのジャズトランペッター)と共演するほどの腕前。

高校のブラスバンド部では指導者的存在で、実質的に彼女がしきっている。

気が強く、教師に対しては一切敬語は使わず、誰に対しても常に命令口調の話し方をする上に、常に自信たっぷりな態度をとるため、ときおり部員からの反発も。

一人称は「ボク」。

要するに、学園ドラマや、少年マンガにありがちな、周囲のレベルとはケタ違いに抜きん出た少女役を相武紗季が演じているのだが、いつも眠たそうで、ぽにゃ~っとしたフェイスの彼女が、強気で鼻持ちならない天才少女の役を演じるというギャップがたまらなく良い。

柔らか顔の美少女が、キリッ!とした表情を作って演じているからこそ、そのキリッ!が緩んで、無防備になった瞬間の表情が可愛いのだ。

彼女、学校では中国拳法の服と学ランを足して2で割ったような服を常に着用しているが、それがまた妙に似合っている上に、この服は、彼女の高飛車な態度を強調するのに一役も二役も買っていた。

▼コレね
nanao

このナナオというキャラクター、最初は、うひゃぁ、すげぇマンガチックなキャラの登場だぜえ~と引きかけたが、すぐに引き込まれた。

相武紗季ファンは必見ですな。

私はHUNGRY DAYSの音楽は、それほど好みというわけではない。

さらに、この映画には、細かな突っ込みどころはたくさんある。

しかし、些細なことなど吹き飛ばすほどのパワーとスピード感がこの映画には漲っていて、青春映画には必要不可欠な要素とツボをしっかりと押さえている。

たとえば、

彼女と自転車に2人乗り(笑)とか、
転んで、顔が接近して、いまにもキスしちゃいそうな雰囲気(笑)とか、
年上のお姉さんに憧れ、妄想にひたるヤツ(笑)とか、
一晩一緒で、何もおこらない(笑)とか、
「この野郎!」な胸ぐらつかみ合いのケンカとか、
文化祭が天王山なところとか、
ロックに理解の無い先生(古?)と、理解のある先生とか。

すべてお約束感が強く、ありがちな要素ばかりかもしれないが、これらの要素が一つもない青春ムービーってのもつまらないと思いません?

爽やか、甘酸っぱ、胸キュン、涙、達成感。

『ビートキッズ』は、これらの要素を過不足なく満たしてくれ、鑑賞後に、「ああ、おもしろかったぁ」と素直に言える映画なのだ。

すでに、大阪では先行公開されているようだ。

関西に住んでいるキミは、是非観に行こう!

バンドやっている人や、楽器をやっている人は、映画館を出た後は、むしょうに楽器を弾きたくなるに違いない。

もちろん、バンドや楽器をやっていない人も楽しめるよ。

観た日:2005/04/12

movie data

ビートキッズ
監督:塩屋俊
原作:風野潮
出演 :森口貴大、相武紗季、市道信義、古河弘基、田中康平、余貴美子、豊川悦司ほか

記:2005/04/12

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