カフェモンマルトル

ジャズと映画と本の日々:高野雲

キューティハニー/試写レポート

      2016/04/20

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庵野秀明監督といえば、まっさきに思い浮かべるのは『帰ってきたウルトラマン』…、じゃなくて(笑)、多くの人は『新世紀エヴァンゲリオン』なんじゃないかと思う。

間違いなく彼の代表作・問題作として、今後も記憶されるに違いない作品だが、“エヴァ的テイスト”とはかけ離れた、まるで吹っ切れたような、重っ苦しい湿気も湿度も吹き飛ばしてしまったかのごときカラッとした台風一過のような作品が『キューティ・ハニー』だった。

私は『エヴァンゲリオン』といえば、“戦う”とか“戦わない”とか“自分って?”といったことを、これでもか、これでもかとばかりに執拗に悩む主人公のウダウダさ加減と、映画まで含めると、“なんだかんだ言っても、結局は主人公が最後はロボットに乗りやっつける”といった、鑑賞者の期待と、決まりきったカタルシスを徹底的に拒否するという、ある種不快感すら催すほどの“重苦しさ”と“不快指数の高さ”、そしてそこから醸し出される“いいようのない湿度の高さ”を感じる。
天気で言えば、間違っても“洗濯物日和”ではない。

それに比べると、今回の庵野監督はもう吹っ切れまくったのか、良い意味での逆キレか、『キューティハニー』のなんとも突き抜けた高気圧具合よ。間違いなく、こちらは“洗濯物日和”な作品だ。

個人的には中盤に少しだけ冗長で退屈なところもあったが、基本的には一定したリズム感で物語が進行し、観終わった後には「ああ、おもしろかった」と単純にそう思える作品に仕上がっていた。

むしろ、以前の庵野監督の『帰ってきたウルトラマン』や『エヴァンゲリオン』に見られた青臭いウダウダ具合は、宇多田ヒカル夫が監督の、悪名高き『キャシャーン』に引き継がれていると思われ。

如月ハニー役の“サトエリ”の体型や顔がシーンによって微妙に違っていたのは私の気のせいかな?

早見青児役の村上淳が飄々としたイイ味出していた。

彼の真似して、片足をあげて両腕を広げて「そーいうことっ」と会社でやったら女の子のなぜかウケた。

秋 夏子役の市川美日子の“ブス・キュート”っぷりは(これ、褒め言葉です)、姉の実和子が、もう10年近く前に“ラジカルなブス路線(これも褒め言葉です)”を独特なセンスで独走中だった雑誌CUTiEの看板モデル時代を張っていた姿を彷彿とさせて中々良かった。

パンサークローの四天王の一人役のミッチーも中々格好良かった。個人的には彼との戦いが劇中一番のクライマックス。

これ、映画関係者の方と試写を一緒に観たのだが、彼いわく、「さすがアニメを長年やってきただけあって、アングルへのコダワリが素晴らしい」。

へぇ、さすが、観ているところが違うなぁ、私は全然気が付きませんでしたが、そういった細部のコダワリが物語りのトーンや大局を壊すことなく、健全に太く明るく楽しめる作品でした。

観た日:2004/04/26

movie data

製作年 : 2004年
製作国 : 日本
監督 : 庵野秀明
出演 : 佐藤江梨子、市川実日子、村上淳、及川光博、片桐はいり、小日向しえ、新谷真弓、手塚とおる、篠井英介 ほか
配給 : ワーナー・ブラザース映画
公開 : 2004/05/29~

記:2004/05/02

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