フォーチュン・クッキー/試写レポート

      2018/01/09

フォーチュン・クッキー 特別版 [DVD]フォーチュン・クッキー[DVD]

浅倉卓也が『四日間の奇蹟』という小説を発表したときに出た書評の多くの前置きが、“この小説の設定は東野圭吾『秘密』と同じだが~”という書き出しが目立った。

つまり、2人の人物の体の中身が入れ替わってしまうという設定のことなのだが、この“入れ替わりネタ”というのは、東野圭吾の小説を持ち出すまでもなく、古くは『転校生』や、タイトルは忘れたが少年漫画や少女漫画にもあった手法なので、すでにポピュラーな設定の一つといえる。

だから鬼の首を取ったように「設定自体は、過去の作品と同じだが(=俺はこれと同じ設定の他の作品を知っているぜ)」といった言い方はそろそろやめたほうが良いのではないか?

つまり、すでにポピュラーな設定だし、ありふれた設定の一つともいえる。

問題は、中身の入れ替わった人間が、この事態にどのように対処し、どのようにふるまい、どのように周囲と関わり、どのように物語が進行するかを描き、それが面白いか、つまらないかだけのことなのだから。

まさか、「男女の愛を描くという設定は、古くは『源氏物語』と同じ手法だが~」といった言い方はしないだろう。

読者の関心は“恋愛”という“ネタ”ではなく、ストーリーや登場人物の描写だろう。

それと同じように、<入れ替わり>というネタも“新しいor古いorありがち”といった“設定の優劣”ではなく、“内容が面白いかつまらないか”につきると思う。

で、フォーチュン・クッキーを食べてしまった母親と娘の心が入れ替わってしまったこのお話、この事態に対処する両者のドタバタが文句無しに面白かったし、事実、会場からは笑い声がたびたび沸き起こっていた。とくに、試写会の会場が有楽町のよみうりホールという大きな場所だったこともあり、笑い声が会場中にこだましていた。

そういった意味では、“コメディ映画”としては十分に合格点だと思うし、単純に「あはは、面白かったね」と素直に言える90分だっだといえる。

ただ、40代の親が“ロックに理解を示さない”というのはどうかなと思った。

むしろ、今の40代のほうがロック世代のような気がするのだが……。

観た日:2004/04/21

movie data

製作年 : 2003年
製作国 : アメリカ
監督 : マーク・ウォーターズ
出演 : ジェイミー・リー・カーティス、リンゼイ・ローハン、マーク・ハーモン、ハロルド・グールド、チャド・マイケル・マーレイ、ライアン・マルガリーニ ほか
配給 : ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
公開 : 2004/05/01~

記:2004/04/26
 

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