カフェモンマルトル

text:高野雲

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ドラマ『ゴーストライター』で思い出す「佐村河内&新垣」騒動

      2015/05/25

ghostwriter

来年1月より、フジテレビ制作のドラマ『ゴーストライター』はじまりますね。

これは、先日、世間を騒がせた「ゴーストライター騒動」が企画の発端となっているのだそうです。

佐村河内守氏と、新垣隆氏の確執、そして記者会見など、一時期、話題になりましたね。

しかし、今回のドラマ題材は「音楽」ではなく、「文学」。

押しも押されぬベストセラー作家・遠野リサの役に中谷美紀。

彼女は、13年ぶりの連続ドラマ主演だそうです。

彼女のゴーストライターを務める役が水川あさみ。

音楽でのゴーストライター騒動と違い、今回は女性同士。

男とは違った女性同士のドロドロとした確執が見れるのかもしれませんね。

中谷美紀さんは、佐村河内守の記者会見をYoutubeで見て役作りをしたそうで、「本当は彼は音楽が好きだと思っています」というようなコメントをしていましたが、うーん、好き嫌いの問題とかではないと思うんですよね。

個人的に思うんですが、佐村河内氏の最大の誤算というか失敗は、「作曲家」と名乗ってしまったところでしょうね。

「プロデューサー」と名乗ればよかったのに。

あの《》交響曲第1番《HIROSHIMA》》も、プロジェクトとして遂行すれば良かったんだと思います。

楽曲全体の企画や構想、そしてイメージなどを考えるのが「プロデューサー」で、実際に細部の作曲などを「技術者」「スタッフ」である新垣氏が担当するという役割分担が実際になされているわけですから。

新垣氏に作曲を依頼する際の佐村河内氏の頭の中には、いつも楽曲の構想があるようで、「何分何秒あたりで盛り上げる」などの細かな構成を書いた指示書を新垣氏に渡していたようです。

これって、まさにプロデューサーや監督の仕事ですよね。

つまり、映画やドラマで言えば、監督が絵コンテを書き、アニメーターや演出家が「実際の絵」に落とし込んでいく作業です。

監督と制作者。

このような役割分担で作られたプロジェクト作品だと最初から世間に発表しておけば、今回のようなトラブルには発展しなかったと思うのですが、そうはいかない裏事情も色々とあったのでしょう。

たとえば、佐村河内&新垣の「プロジェクト」にしてしまうと、「作曲家・佐村河内守」というラベルというかブランドの威光が落ちる⇒売上げが見込めないということも考えられる。

また、作曲家として名乗ることによる印税収入のおいしさもあるのかもしれません(もっとも売れずにCDも増産されなければ、印税収入もそれっきりではありますが)。

佐村河内氏は、新垣氏にが作曲を依頼する際には、ウン百万のお金をポン!と支払っていたそうなので、もしかしたら、その大金のスポンサーが佐村河内氏のバックにいるのかもしれませんね。

あの「芸術家、芸術家」した風貌、そしてベートーベンばりのエピソードと、ドキュメント番組で一気にあがったイメージと知名度。

このブランドイメージさえあれば、実際の作曲者なんて誰でもよく、単にCDさえ売れてくれれば、それで良しと考えている人たちが背後にはいたのかもしれません。

以上は、もちろん邪推の域を出ませんが、そうでないにしても、恐らくは、もろもろの権利関係や、ビジネス的な事情があってのことだとは思います。

実際にクリエイターの気持ちとしては、最初は自分は「ゴースト」であることを了承して契約を交わしたとしても、やはり、自分が苦労して生み出したものの評価が上がれば上がるほど、複雑な感情がもたげ始め、何もしていない人間が賞賛を浴びることに我慢が出来なくなってくるのかもしれません。

おそらく、ドラマのほうも(あくまで予想ですが)、最初は嬉々としてゴーストライターとしての仕事をこなしていた水川あさみも、自分が中谷美紀のゴーストとして書いた本が売れだすと、心の中に葛藤が生じてくるというようなストーリーに発展していくのかもしれませんね。

今回のドラマにおいての、作家とゴーストライターの確執も気になるところですが、編集者はどのようなポジションであるかということも気になります。

もちろん編集者は作品の原稿は書きませんが、作家の手足となって資料集めや取材をする編集者は多いですし、私なんかも雑誌編集者時代は、「次回はこういう内容のものどうですか?」とか、「あの場面の描写は、海外のなんとかという作家の何々という作品の例のシーンがすごく参考になりますよ」などと、しょっちゅうライターや作家さんと長電話をしたり打ち合わせをしたりしていましたから。

しかし、テレビやマンガで描かれがちな「編集者」という職業の仕事内容は、「原稿受け取りマシーン」が多いような気がします。

「先生、原稿まだですか?印刷所が待ってます!」みたいな、借金取りのような仕事。

しかし、実際の編集者の仕事は、それだけではありません。

というより、催促だけならバイトや契約社員でも出来ますし……。

むしろ、作家との二人三脚が編集者の仕事だと思います。

原稿の最初から最後までを「オマカセ」な作家もいますが、積極的に新しい企画を立てて作家と共同でプロットを練り上げていくタイプの共闘関係の作家と編集者もいます。

『ゴーストライター』のキャストを見ると、田中哲司や三浦翔平が編集者として主人公の作家に絡むようですが、単に「原稿くれくれマシーン」な編集者としての描写にならないことを祈る!

記:2014/12/03

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